本記事は税制改正大綱(令和8年度)の公表情報をもとにした個人の記録・試算であり、特定の金融商品や制度利用を勧誘するものではありません。制度の詳細は今後の法案審議・省令等で変更される可能性があります。実際の利用にあたっては、最新の金融庁・税務署の情報をご確認ください。
「こどもNISA」(つみたて投資枠の年齢要件撤廃)は、2027年(令和9年)から始まる予定です。0歳から17歳までの間にも、年間60万円・総額600万円の非課税枠が使えるようになる新しい仕組みです。SNSなどでは「こどもNISA」と呼ばれ始めていますが、これは金融庁の公式な制度名称ではなく、現時点では「つみたて投資枠の対象年齢見直し」という形で税制改正大綱に盛り込まれている段階です。
私は40歳から投資を始めた、いわゆるレイトスターターです。子どものための制度ではありませんが、「もし自分が子どもの頃にこの枠があったら、今どうなっていただろう」という視点は、時間を味方につけることの意味を改めて考えさせてくれました。この記事では、金融庁の公表資料をもとに制度の概要を整理し、あくまで仮定の試算として「20年前にあったら」のシミュレーションをしてみます。
この記事でわかること
- 2027年開始予定の新しい非課税枠(年間60万円・総額600万円)の対象年齢・仕組み
- 現行NISA(18歳以上)との違いと、18歳到達時の移行の仕組み
- 12歳以降の払い出しルールの設計意図
- 仮定シミュレーション:この枠が20年前にあったら、20年後にどうなっていたか
- 40歳から投資を始めた私が、この制度を見て「うらやましい」と思った理由と現時点でわかっている注意点
制度概要|対象年齢・年間上限60万円・総額600万円
金融庁が2025年12月に公表した「令和8(2026)年度税制改正について」という資料に、この制度の概要が示されています。現時点で公表されている内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額(総額) | 600万円 |
| 投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(現行のつみたて投資枠と同様の基準) |
| 制度開始(予定) | 令和9年〜(2027年〜) |
(出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」2025年12月公表資料)
現行の新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠あわせて年間360万円、生涯1,800万円)と枠自体は別立てで、0〜17歳向けの新しい非課税保有限度額600万円が追加される形です。
💡 ポイント 資料上、この制度は「こどもNISA」という固有の名称ではなく、あくまで「つみたて投資枠の年齢要件の撤廃」という制度改正として説明されています。呼び方が広まっているだけで、正式名称ではない点は執筆時点(2026年7月)で押さえておきたいところです。
こどもNISAはいつから?開始時期と現行NISAとの違い
金融庁の資料には「(令和9年〜)」という記載があり、2027年からの開始が想定されています。ただし、これは税制改正大綱の段階の情報であり、今後の法案審議や関連省令の整備を経て、詳細が変わる可能性があります。
現行の新NISA(18歳以上が対象)と比較すると、次のような違いがあります。
| 項目 | 現行NISA(18歳以上) | 新しい枠(0〜17歳・予定) |
|---|---|---|
| つみたて投資枠・年間上限 | 120万円 | 60万円 |
| 成長投資枠 | 240万円(18歳以上のみ) | なし(対象外) |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円が内数) | 600万円 |
| 投資対象商品 | つみたて投資枠は一定の投資信託、成長投資枠は上場株式・投資信託等 | 一定の投資信託のみ |
(出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」2025年12月公表資料。現行NISAの数値は金融庁公表の制度概要にもとづく)
0〜17歳の枠では成長投資枠に相当するものはなく、つみたて投資枠に近い一定の投資信託のみが対象とされています。個別株を子ども名義の口座で売買するような使い方は、現時点の公表情報では想定されていないと読めます。
12歳引き出し可・18歳成人NISA移管の設計意図
この制度で特徴的なのが、途中での払い出しルールと、18歳になったときの扱いです。
金融庁の資料によれば、12歳以降は、一定の要件のもとで親権者等による払い出しが可能とされています。その要件として、資料には次のように記載されています。
「資金の使途が子のためのものであり、子が払出しに同意したことを示す書面とともに、親権者等(口座管理者)が申出書を金融機関に提出する。」 (出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」2025年12月公表資料 https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf)
つまり、親が自由に引き出せる仕組みではなく、子の同意を示す書面が必要になる設計です。大綱の概要欄には「次世代の資産形成を促進し、長期・安定的な投資を通じて、大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられるよう」という目的が明記されており、大学進学など、子ども自身のための資金という位置づけが意識されているようです。
そして18歳になった時点では、資料の図に「自動的に移行」と示されており、0〜17歳の枠で積み立てた分は、18歳以上向けのつみたて投資枠に引き継がれる仕組みが想定されています。新たに口座を開設し直す必要はなく、非課税のまま接続される設計と読み取れます。
⚠️ 注意 贈与税の扱いや、親などが本人に代わって拠出できるのか(代理拠出の可否)については、今回確認した資料の中に明記された記載が見当たりませんでした。現時点の公表情報からは判断できない部分であり、実務上の詳細は今後の法案審議・省令等で示される可能性が高い点にご留意ください。
もし20年前にあったら|仮定シミュレーション
ここからは、あくまで「もしこの枠が20年前からあったら」という仮定の試算です。実在した制度ではないため、税制・手数料・運用商品の実際の値動きとは無関係の、単純計算によるシミュレーションであることをご了承ください。
前提条件
- 0歳から年間60万円(月5万円相当)を積み立て、総額600万円(非課税保有限度額の上限)に達する10年目で拠出を終了したと仮定
- 想定利回り:年率5%(複利、税引前)
- 11年目以降は追加拠出をせず、18歳到達までそのまま非課税運用を継続したと仮定
想定利回りの5%は、この記事のための独自の前提です。正典表にある筆者自身のiDeCo試算(月2万円・年利5%複利で60歳時点約541万円)と同じ前提を踏襲し、金融庁が公表するNISA関連の資料や一般的な資産形成の解説で用いられることの多い水準として採用しました。実際の運用成果を保証するものではありません。
| 経過年数 | 年齢 | 累計拠出額 | 想定評価額(年率5%運用時) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 1歳 | 60万円 | 約62万円 |
| 5年目 | 5歳 | 300万円 | 約341万円 |
| 10年目 | 10歳 | 600万円 | 約773万円 |
| 18年目 | 18歳 | 600万円(上限到達・以降拠出なし) | 約940万円 |
(試算方法:毎年年始に60万円を拠出し、年率5%の複利で運用したと仮定した単純計算。手数料・税金は考慮していません。10年目の600万円で非課税保有限度額の上限に達するため、11年目以降は追加拠出なしで運用のみ継続する前提です)
18年間の複利運用により、拠出総額600万円に対して評価額は約940万円という試算になりました。これは将来の運用成果を約束するものではなく、あくまで一定の利回りを仮定した場合の単純計算です。実際の相場は、この9年間で私自身が経験したコロナショックのような大きな下落局面も含め、一本調子で右肩上がりに進むわけではありません。
💡 ポイント この試算では10年目に拠出上限600万円に達したあと、11〜18年目の8年間は新たな入金なしで運用だけが続きます。表を見ると、10年目時点(約773万円)から18年目(約940万円)までの8年間で、追加の入金なしに評価額が約167万円増えている計算です。「入金を続けること」だけでなく、「入金をやめたあとも非課税で運用を続けられる期間」があることも、この制度の複利効果を支えている要素だとわかります。
時間を味方につける考え方
制度が、早く始めた人を優遇し始めています。私がそれに気づいたのは、40歳から投資を始めたあとでした。
私自身は投資を始めたのが40歳でした。それ以前の20〜30代は、貯金はしていたものの、投資には手を出さずにいました。そこから9年間、コツコツと積立と高配当株への投資を続け、49歳の現在は運用資産が6,000万円まで育っています。この9年間で強く感じたのは、暴落局面を乗り越えるための「時間」と「入金を続ける仕組み」の両方が必要だということでした。
私自身、大学を卒業した時点で、奨学金の返済が約200万円残っていました(個人の実績です)。社会人としてのスタートは、ゼロからではなく、マイナスからでした。
もし0歳から18年間、非課税で積み立てられる枠があり、この記事の試算どおり約940万円ほどの資産を持って社会人になれていたら、奨学金を借りずに大学生活を送れていたかもしれません。少なくとも、借金を背負って社会に出るのか、資金的に余裕のある状態で出るのかは、その後の資産形成のスタート地点そのものを変えます。これは、40代から投資を始めた私にとって、経験できなかった時間の使い方です。だからこそ、この記事の試算は「羨ましい」という感情も込みで書いています。同時に、40代から始めても9年で一定の資産形成ができたという事実も、また別の形の答えだと感じています。
💡 補足 早く始めた場合の複利効果が大きいことは事実ですが、それは「今から始めても遅い」という意味ではありません。40代から始めた場合の現実的な積立と資産推移は、「40代からNISAは遅い? 40歳から9年で6,000万円にした私の答え」にまとめています。
制度利用の注意点
現時点の公表情報をもとに、利用を検討する際に留意したい点を整理します。
- 正式な制度開始はまだ先:令和9年(2027年)からの開始が想定されていますが、大綱段階の情報であり、法案審議や省令の整備を経て詳細が確定します。現時点で確定した内容として扱うのは早計です。
- 贈与税の扱いが不明確:年間60万円という金額が、暦年贈与の非課税枠(年110万円)との関係でどう扱われるか、資料には明記がありませんでした。今後の情報公開を待つ必要があります。
- 払い出しには子の同意書面が必要:12歳以降の払い出しは、親が自由に行えるものではなく、子の同意を示す書面と申出書の提出が要件とされています。
- 対象商品は一定の投資信託に限定:現行の成長投資枠のような上場株式への投資は、0〜17歳の枠には含まれない想定です。
⚠️ 注意 本記事は2025年12月公表の税制改正大綱資料をもとにした現時点(2026年7月)の情報整理です。制度の正式名称・詳細な運用ルールは今後変更される可能性があるため、実際に制度を利用する判断は、金融庁や税務署が公表する最新情報を必ずご確認のうえ行ってください。
まとめ
- 2027年(令和9年)開始予定で、0〜17歳を対象に年間60万円・総額600万円の非課税枠が新設される見込みです(金融庁公表の税制改正大綱にもとづく)
- 12歳以降は子の同意書面があれば親権者等による払い出しが可能で、18歳になると現行のつみたて投資枠へ非課税のまま自動的に移行する設計です
- 「もし20年前にあったら」という仮定シミュレーションでは、年率5%運用の前提で拠出総額600万円が約940万円になると試算しました(あくまで独自前提による単純計算です)
- 贈与税の扱いなど、現時点でわからない部分も残っており、今後の公式発表を確認しながら情報をアップデートしていく必要があります
20年前の自分にこの制度があったら、正直うらやましいと思います。それでも、40代から始めた私が9年で積み上げてきた実績も、嘘ではありません。制度がどう整備されていくかを見守りながら、今の自分の状況でできる資産形成を続けていくことが大切だと考えています。
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
本記事は税制改正大綱(令和8年度)の公表情報をもとにした個人の記録・試算です。制度の詳細は今後変更される可能性があるため、実際の利用にあたっては金融庁・税務署等の最新情報を必ずご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
