⚠️ 免責事項

本記事は私個人の投資経験の記録です。特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。ETFの分配金利回り・価格・構成銘柄は変動し、ETFには繰上償還・上場廃止リスクもあります。為替変動により円換算元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

米国ETFを確認しているイラスト

VOOを買っていれば、資産はもっと増えていた。

それでも私は、SPYD・HDVを5年間一度も売っていません。

なぜか——5年保有した今の、答えを書きます。


📋 この記事の数字サマリー

項目 内容
購入開始時期 2020年(コロナ禍)
購入のきっかけ 日本株のみのポートフォリオへの危機感・地域分散
選んだ理由 高い分配金利回り・複数銘柄分散による個別株より低い価値毀損リスク
現在の保有状況 継続保有中(現時点で売却予定なし)
ポートフォリオの役割 地域分散・ドル建て配当・円安ヘッジ

きっかけ:コロナ禍で「日本株だけ」のリスクに気づいた

2020年初め、コロナショックで相場が大きく動いた。あの時期に私は改めて自分のポートフォリオを見直し、あることに気づきました。

iDeCoを除くと、保有資産がほぼ全部日本株だった。

高配当株を中心に積み上げてきた9年間のポートフォリオ。日本の会社、日本の産業、日本の経済——良くも悪くも、全部同じ方向に連動していた。

地域分散が必要だと感じたのはその時です。「日本が沈んでも、世界が全滅するわけではない」——そういう当たり前のことを、コロナ禍でようやく実感として理解しました。


なぜVOOやQQQではなく、高配当ETFを選んだのか

地域分散の手段として米国ETFを調べ始めたとき、選択肢はいくつかありました。

  • VOO(S&P500連動・値上がり益狙い)
  • QQQ(ナスダック100・ハイグロース系)
  • VT(全世界株・超分散)
  • SPYD・HDV(米国高配当ETF)

私が選んだのはSPYDとHDVでした。理由はシンプルです。

私の投資の軸は「配当収入の積み上げ」だったから。

キャピタルゲイン(値上がり益)を狙うなら、VOOやQQQの方が過去実績でのリターンは高い。ただ、私がNISAで高配当個別株を積み上げてきた目的は「毎月・毎年入ってくるキャッシュフローを育てること」でした。米国ETFを加えるなら、その軸に合ったものを選ぶのが自然だと判断しました。

もう一つの理由が、ETFが複数銘柄の集合体であることによる価値毀損リスクの低さです。

個別株は、どんなに調べても業績悪化・不祥事・減配のリスクがある。ETFは複数銘柄で構成されているため、一銘柄がゼロになっても致命傷になりにくい。高い分配金利回りを狙いながら、個別株より価値毀損リスクを抑えられる——この点がSPYDとHDVを選んだ大きな理由のひとつです。

ドル配当を受け取るイラスト

SPYDとHDVの違い:2つを組み合わせた理由

同じ「米国高配当ETF」でも、SPYDとHDVは性格が少し違います。

  • SPYD:S&P500構成銘柄のうち配当利回り上位約80銘柄に均等投資。純粋に「利回りが高い銘柄を集めた」ETF。分配金利回りは高めだが、景気敏感セクターの比率が高く価格変動もやや大きい。分配金も景気によって変動しやすい
  • HDV:財務健全性も考慮した高配当銘柄で構成。エネルギー・生活必需品・医療セクターの比率が高く、安定感がある。分配金利回りはSPYDより低めになる傾向

どちらかひとつに絞るより、2つを組み合わせることでキャラクターの違いを活かしています。「利回りを取るSPYD」と「安定性を取るHDV」——大雑把に言えばそういう使い分けです。

高配当ETFには他にもVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)という選択肢があります。銘柄数が多く分散が効いており、長期保有を重視する投資家の候補になるETFだと思っています。ただ私の場合は、当時の資金的な制約と、購入タイミングでの分配金利回り・購入単価の比較でSPYDとHDVを選びました。VYMを「知らなかったから選ばなかった」のではなく、「あの時点での自分の条件でSPYD・HDVの方が合っていた」という判断です。


5年保有した本音|VOOに負けた、それでも売らない

結論から書きます。キャピタルゲインという観点では、VOOやQQQには大きく劣ります。

特にコロナ後の米国株の上昇局面では、S&P500やナスダックの伸びが圧倒的でした。「あの時VOOを買っていれば」と思ったことがないと言えば嘘になります。

ただ、私がSPYD・HDVに期待していたのは値上がり益ではなく、ドル建ての配当収入と地域分散です。その目的に対しては、5年間機能してくれています。

日本の高配当株と並べて見ると「地味な存在」に映ることもあります。でも、ポートフォリオの中で「日本株とは別の動きをするドル建て配当源」としての役割は果たしている、というのが私の評価です。


想定外の援軍になった円安

2020年頃の為替は1ドル100〜110円台の水準でした。その後、円安が進んで2024〜2025年にかけては150円前後の水準で推移することも増えました(※為替は保有期間中の筆者の実感値)。

ドル建てで受け取る配当は、円安になるほど円換算で増えます。購入時より円安が進んだ分、結果論として、円安局面ではプラスに作用しています。

これはSPYD・HDVを選んだ当初の狙いではありませんでしたが、「ドル建て資産を持つことの意味」を実感させてくれた経験でもあります。日本円だけで資産を持つリスク——円の価値が下がるリスク——を、少しだけ分散できているという安心感があります。

ドル建て資産を持つ安心感のイラスト

「積立には向かない」——購入タイミングが重要な理由

SPYD・HDVについて、ひとつ大事なことを書いておきます。

これはインデックスファンドのように毎月定額で積み立てる性質の資産ではない、と私は考えています。

インデックスへの積立投資(ドルコスト平均法)は、高い時も安い時も定期的に買い続けることで平均取得単価を平準化できます。長期で見れば「いつ買っても大きく外れない」という強みがある。

一方、高配当ETFは株価が高い局面では分配金利回りが下がり、投資効率が落ちます。私は**株価が下がって分配金利回りが上がった局面で買うようにしています。**個別株と同じように、購入タイミングが投資効率に影響するのです。

これがSPYD・HDVを「インデックスの積立とは別物」として扱っている理由です。


VOO・オルカンとの使い分け:目的で選び方が変わる

よく「VOOとSPYD、どっちがいいですか」と聞かれるような比較をされますが、私の答えは「目的次第」です。

キャピタルゲインを狙うなら、VOOやオルカン(全世界株インデックス)の方が、過去実績ではトータルリターンが上回るケースが多いと思います(将来の成果は不明です)。長期で「資産をできるだけ大きく増やす」が目的なら、私でもSPYD・HDVよりオルカンやS&P500インデックスを選ぶと思います。

一方、配当収入(インカムゲイン)を積み上げたいなら、SPYD・HDVは選択肢に入ります。値上がり益は劣後するかもしれないけれど、定期的にドル建ての配当が入ってくる——その感覚が投資継続のモチベーションになる人もいます。

私がそうです。

どちらが「正解」ではなく、自分の投資目的に合った手段を選ぶことが大事だと思っています。


次のステップ:オルカン・S&P500を加えてポートフォリオを整える

SPYD・HDVで「ドル建て資産を持つ感覚」を掴んだことで、米国ETFへの解像度が上がりました。その経験を踏まえて、今は地域分散のさらなる強化と、老後に向けた資産基盤の積み上げを目的に、オルカン(全世界株インデックス)とS&P500インデックスを増やしていく方針に移っています。

SPYD・HDVは「配当収入を今積み上げる」役割を担ってきました。一方で、老後資産の観点では長期の資産成長——キャピタルゲインの蓄積——も欠かせない。全世界株や米国市場への幅広い分散は、特定のセクターや地域への偏りを抑えながら、資産規模を長期で伸ばすうえで有効だと考えています。

  • SPYD・HDV:ドル建て配当収入の柱として継続保有
  • オルカン・S&P500インデックス:地域分散の強化と老後に向けた長期成長の柱として積み上げ

「高配当か、インデックスか」という二択ではなく、役割を分けて両方持つことでポートフォリオのバランスを整えていく。SPYD・HDVを持ち続けながら、その上にインデックスを積み重ねていくイメージです。


まとめ:SPYD・HDVは「主役」ではなく「脇役」として持つ

① 地域分散のために米国を加えるなら 日本株中心のポートフォリオには、米国のドル建て資産を加えることで地域・通貨の分散ができます。

② 高配当戦略を貫くなら 値上がり益より配当収入を重視するなら、SPYD・HDVは選択肢に入ります。複数銘柄への分散という個別株にない特性が、長期保有の安心感につながっています。配当収入の積み上げ方については別記事に書いています。

③ 積立ではなく「買い場を見極める」資産として インデックスの定額積立とは別の性質です。株価が下がって分配金利回りが上がった局面での購入が、投資効率の面で有効だと考えています。

④ キャピタルゲインを狙うなら別の手段を 値上がり益重視なら、VOO・オルカン・S&P500インデックスの方が過去実績でのリターンが高い傾向があります。


5年間持ち続けて「正解だった」と言い切れるかというと、わかりません。VOOを同じ金額で買っていたら、おそらく資産は今より大きかったでしょう。

それでも売ろうと思ったことはない。地味だけど、配当収入を積み上げるという目的に対して、SPYD・HDVは今も機能しています。

値上がり益を取りたいか、配当を積み上げたいか。 答えが決まれば、ETFは自然に決まる。 私は後者を選んだ。だから今日も、SPYD・HDVは口座にある。


本記事は個人の投資経験の記録(2020〜2026年)です。ETFの分配金利回り・価格・構成銘柄は変動します。ETFには繰上償還・上場廃止リスクがあります。為替変動により円換算元本割れの可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。