ご利用にあたって 本記事は、筆者個人の投資経験と調査内容を記録したものです。筆者は金融商品取引業者・投資助言業者ではなく、特定の金融商品・銘柄の購入、売却、保有を推奨するものではありません。GPIFの運用手法や資産配分についても、真似すること・しないことのいずれかを勧めるものではありません。年金制度・税制に関する記述は執筆時点の一般的な解説であり、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式が25%ずつです。私は、この配分を真似しませんでした。

それでも一番はっきり残ったのは、分散でした。

投資を始めたあと、ニュースでGPIFの名前を見かけて、年金の積立金がどこに投資されているのかを調べました。出てきたのは、私の配分とはまったく違う設計でした。

この記事でわかること

  • そもそもGPIFとは何をしている組織か、積立金を何に使うのか(取り崩しの設計)
  • GPIFが支えているのは、年金の財源のうちどれくらいか
  • GPIFのポートフォリオの中身(4資産の比率と乖離許容幅)
  • 分散には層があるという話(銘柄の分散と、資産の分散は別物)
  • 投入額の大きさが結果に効いてくるという話
  • 国が年金の運用に投資を選んでいるという事実

GPIFとは|私たちの年金保険料を運用している組織です

GPIF(ジーピーアイエフ)は年金積立金管理運用独立行政法人の略称です。私たちが毎月払っている年金保険料のうち、すぐには給付に使わず積み立てられている分——年金積立金を、管理・運用している組織です。

GPIF自身の説明では、位置づけはこうなっています。

GPIFが担う年金積立金の管理・運用は、公的年金制度の一部です。

※出典:GPIF 公的年金制度と年金積立金

運用しているお金は317兆7,596億円(2026年6月末時点・出典は後述)。個人の感覚からは想像しづらい規模です。この積立金は将来世代の給付に充てるため、今後おおむね100年間で計画的に活用していく、とGPIFは説明しています。

つまり短期で増やす組織ではなく、100年かけて計画的に取り崩していく前提で預かっている組織ということになります。

ただし、GPIFが支えているのは年金財源の約1割です

GPIFの運用成績がニュースになると、決まって同じ議論が出ます。年金の保険料を株で運用するとは何事か。あるいは逆に、そんなに儲かっているなら保険料を下げろ。

どちらの議論も、GPIFの運用成績と年金の受取額を直結させて語られます。実際の財源構成はこうです。

年金給付の財源(財政検証で前提としている概ね100年間の平均)は、その年の保険料収入と国庫負担で9割程度がまかなわれており、積立金から得られる財源は1割程度です

※出典:GPIF 年金財政における積立金の役割

つまり年金の9割は、いま働いている人が払う保険料と税金でまかなわれているということでした。GPIFが運用しているお金が支えているのは、残りの1割程度です。

GPIFはこうも説明しています。

年金給付に必要な積立金は充分に保有しており、積立金の運用に伴う短期的な市場変動は年金給付に影響を与えません

※出典:GPIF 年金財政における積立金の役割

積立金の使い方についても方針が書かれていました。当初は運用収入を給付の一部に充て、一定期間後からは積立金そのものも少しずつ取り崩し、概ね100年後に年金給付の1年分程度が残るように使っていく、という設計です。

短期の市場変動は年金給付に影響しない——というのがGPIFの説明です。

もちろん、だから安心だと私が保証できる話ではありません。ただGPIFの運用成績と年金の受取額は、そのまま直結してはいなかった——ここは配分の話に入る前提として置いておきます。

GPIFのポートフォリオは4資産25%ずつです

そのGPIFの運用方針は「基本ポートフォリオ」として公表されています。どの資産に何%を配分するか——つまり資産配分の方針が、そのまま公開されているということです。

国内と海外、債券と株式に分けるGPIFの資産配分
資産 配分 乖離許容幅
国内債券 25% ±6%
外国債券 25% ±5%
国内株式 25% ±6%
外国株式 25% ±6%
(債券・株式の全体) ±9%

※第5期中期目標期間(2025年度からの5カ年)の基本ポートフォリオ。2025年4月1日から適用。出典:GPIF 基本ポートフォリオの考え方

きれいに4等分です。運用目標もあわせて公表されています。

長期的に年金積立金の実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.9%を最低限のリスクで確保することを目標とし

※出典:GPIF 基本ポートフォリオの考え方

増やすことより、減らさないこと。「最低限のリスクで」という一言に、この配分の理由が出ていると感じました。なお1.9%は名目賃金上昇率を差し引いたあとの数字なので、次に出てくる実績の数字とは計算の土台が違います。

実際の比率も、ほぼ25%に保たれています

2026年6月末時点の実際の資産構成割合は、国内債券25.59%・外国債券24.60%・国内株式24.48%・外国株式25.33%でした(出典:GPIF 最新の運用状況)。

掲げた比率が、そのまま守られています。ここが後半の話につながります。

実績は年率4.95%。ただ、私は比べられる数字を持っていません

項目 数字
運用資産額 317兆7,596億円
市場運用開始(2001年度)からの累積収益額 +221兆201億円
うち利子・配当収入 63兆3,662億円
市場運用開始以降の収益率 年率+4.95%

※2026年度第1四半期末(2026年6月末)時点。出典:GPIF 最新の運用状況

年率4.95%。この数字を見て、自分の成績と比べたくなりました。

ただ、比べられませんでした。

私が計算しているのは、購入額に対する配当利回りです。株価が上がったか下がったかは、一切入っていません。一方GPIFの4.95%は、値上がり益と利子配当を合わせたトータルの数字です。

片方は配当だけを測る道具、もう片方は全体を測る道具。自分のトータルリターンは計算していないので、私はGPIFと比べられる数字を持っていない——これが正直なところです。

なお累積収益221兆円のうち63兆円、およそ29%が利子・配当でした。値上がり益だけで積み上がった数字ではない、というのは意外でした。

一番学んだのは、分散の大切さでした

GPIFを調べて一番強く残ったのは、配分の数字そのものではありませんでした。資産をどう分けているか——その分け方です。

銘柄の分散と資産の分散は別の層だと気づく

分散には層がある

GPIFの4資産をもう一度見ると、分け方が二重になっています。

  • まず債券と株式に分ける(値動きの性質が違うもので分ける)
  • そのうえで国内と海外に分ける(同じ株式でも、動く要因が違うもので分ける)

さらにその上に、乖離許容幅があります。株が上がれば株の比率は勝手に増えます。放っておけば25%が30%になる。そのときGPIFは、値動きの先を読んで売買するのではなく、決めた幅を外れたから戻すという動き方をします。

つまり分散を作って終わりにしていない維持する仕組みまで含めて設計されているということでした。

銘柄を分けることと、資産を分けることは別物でした

私は2026年4月時点で96銘柄を持っています。業種もばらしています。ただ資産クラスで見ると、高配当株が約80%、インデックスが約20%。どちらも株式です。債券は1円も持っていません。

GPIFは資産そのものを債券と株式に分け、さらに国内と海外に分けています。私が分けているのは、その一番下の層だけ。銘柄の分散と資産の分散は、別の層の話です。

偏っていること自体は、以前から書いています。日本株中心だと地域のリスクが偏るため、これからはインデックス側を増やしていく方針です。GPIFの4資産は、その延長線上にある考え方でした。

地域分散のためインデックスを増やす方針と、96銘柄の内訳

それでも資産の分散をしていない理由

分けていない自覚があるなら、なぜ分けないのか。

株を買うとき、私が見ているのは会社が稼ぐ力です。PER、PBR、ROE、自己資本比率、配当性向。この会社は伸びるか、少なくとも配当を出し続けられるかを考えます。インデックスも同じで、世界の企業が全体として稼ぎを伸ばしていくことに乗っています。

債券は、その形をしていません。発行体が予定どおり支払えば、決まった利息が入って満期に額面が戻る仕組みです(途中で売れば価格は動きますし、発行体が支払えなくなる可能性もあります)。予定どおりに終わることが、良い結果です。これは欠点ではなく、設計としてはむしろ正しい。ただ成長による価値増大がないぶん、私には興味が湧きませんでした。それだけの話です。

制度上できなかったわけでもありません。私の理解では、債券に投資する投資信託やETFなら、NISAの成長投資枠の対象になり得ます(成長投資枠の対象となる投資信託・ETFの一覧は資産運用業協会が公表しています)。買えなかったのではなく、選ばなかった。

分散の対象として債券が良いものだという考え自体は、私も否定していません。持たないぶん、株価が下がる局面ではそのまま影響を受けます。資産の分散という点では、GPIFのようにはできていません。

次に学んだのは、投入額の大きさでした

年率4.95%という数字自体は、驚くほど高いわけではありません。でも317兆円を運用している主体と、100万円を運用している個人とでは、同じ利回りでも増える金額の桁が変わります。累積収益が221兆円まで積み上がったのは、利回りが特別だったからというより運用している元本が大きいからです。

同じ利回りでも投入額で増える金額の桁が変わる

利回りを1%上げるのは大変です。でも投入額を増やすほうは、やり方次第では利回りより現実的だったりします。私が投資を始める前に「まず元本を作る期間」を意識したのは、これと同じ話でした。

ゼロから500万円を貯めた期間の話

そして、国が年金の運用に投資を選んでいる

3つ目は、数字ではなく事実の重みです。

「投資は怖い」「ギャンブルのようなもの」という感覚は、私にもありました。40歳まで貯金しかしていなかったので、当然だと思います。

ただ年金という、絶対に失敗できないお金を運用する立場の組織が、預金ではなく株式と債券を選んでいる。しかもその半分は株式です。この事実は、どんな解説よりも強い説明だと感じました。

もちろん、国がやっているから安全だという話ではありません。株式を半分持っている以上、相場が下がれば運用資産も減ります。それでも長期で運用する主体が投資を選んでいるという事実自体が、私にとっては一つの答えでした。

まとめ

  • 年金給付の財源は保険料収入と国庫負担で9割程度、積立金から得られる財源は1割程度です。GPIFの運用が年金のすべてを支えているわけではありませんでした
  • GPIFのポートフォリオは4資産25%ずつ(2025年4月1日から適用)。債券と株式で分け、国内と海外で分け、乖離許容幅で維持する仕組みまで作られています
  • 私がGPIFから学んだのは資産の分散の大切さでした。96銘柄に分けていても、資産クラスではほぼ株式に寄っています。銘柄の分散は、資産の分散の代わりにはなりません

日本株中心の偏りに対してインデックスを増やしていく方針は、以前から変えていません。GPIFの4資産は、その方針を資産クラスの層で見せてくれた図でした。

そのうえで、配分そのものは真似しませんでした。取り崩す時期が決まっているお金と、まだ働いて増やす前提のお金では、前提が違うからです。違っていて、いいのだと思いました。

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