⚠️ 免責事項
本記事は筆者個人の投資経験・判断の記録です。特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。iDeCoの掛金上限・税制・受取ルールは制度改正により変わる場合があります。最新情報は厚生労働省・国税庁・各金融機関の公式情報をご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
iDeCoの掛金上限が拡大されても、会社員の私は今の月2万円から増やすつもりはありません。
なお、私はDB(確定給付型企業年金)加入者のため、今回の「企業年金なし・月6.2万円」の拡大枠の直接対象ではありません。ただ、仮に自分の上限が広がったとしても——結論は同じです。増やしません。
理由は単純で、「上限いっぱい使うこと」と「自分の出口戦略に合うこと」は別の話だからです。私は40歳から投資を始め、49歳の今、運用資産は6,000万円になりました。決して計算が得意なわけではありませんが、9年間お金と向き合ってきて「制度が広がったから即フル活用」という判断はしなくなりました。
この記事では、2026年改正でiDeCoの上限がどう変わるのか、そして私が増額を見送る具体的な理由を、節税額の試算と60歳での出口計画から正直に書いていきます。「上限が増えたけど、自分も増やすべき?」と迷っている40代の会社員の方の判断材料になればうれしいです。
iDeCoの上限が月6.2万円に拡大される(2026年12月改正の概要)

2026年12月の制度改正で、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限が引き上げられる予定です。特に企業年金のない会社員は、現行の月23,000円から月62,000円まで大幅に拡大される見込みです。加入年齢も70歳未満まで拡大されます(出典:厚生労働省)。
加入している年金制度のタイプ別に、改正後の上限(予定)を整理します。
| 加入状況 | 現行の月上限(2024年12月〜) | 2026年12月改正後(予定) |
|---|---|---|
| 企業年金なし(会社員) | 23,000円 | 62,000円 |
| 企業型DC(確定拠出)のみ | 20,000円 | 改正後詳細は公式確認 |
| DB(確定給付型)のみ | 20,000円 | 改正後詳細は公式確認 |
| DB+企業型DC両方 | 12,000円 | 改正後詳細は公式確認 |
| 公務員 | 20,000円 | 改正後詳細は公式確認 |
※改正後の詳細は制度確定後に厚生労働省の公式情報をご確認ください。施行前に内容が変更される場合があります。
※企業年金(DB・DC)のある方の改正後上限は「62,000円 − 企業年金等の掛金相当額」の計算式が適用される見込みです。筆者(DB加入者)は現行上限が月20,000円のため、改正後も大きくは変わらない見通しですが、自社の人事・総務部門への確認を推奨します。
数字だけ見れば「枠が広がる=有利」と感じます。実際、節税の観点では掛金が多いほど控除額も増えるので、メリットがあるのは事実です。ただし、iDeCoは「60歳まで引き出せない」という強い制約とセットになった制度です。枠が広がったことを、自分の人生設計に当てはめて考える必要があります。
そもそも私のiDeCo履歴|月1.2万円から月2万円へ
判断の前提として、私自身のiDeCo履歴を共有しておきます。
私がiDeCoを始めたのは2019年、投資を始めて2年目の42歳のときでした。当時、私は確定給付型企業年金(DB)に加入している会社員で、掛金の上限は月12,000円(年144,000円)でした。
その後、2024年12月の制度改正でDB加入者の上限が月20,000円に引き上げられたタイミングで、私も掛金を月20,000円(年240,000円)に増額しました。運用商品はずっとS&P500連動型のインデックスファンド、口座はSBI証券です。
つまり私は、過去に一度「上限拡大に合わせて増額した経験」があります。月1.2万円から月2万円へ。このときは迷わず増やしました。
では今回もまた増やすのか。同じように考えてもよさそうなものですが、私はここで「いや、今回は見送ろう」と判断しました。その理由を次から書いていきます。
→ 40代iDeCoはいくらから?SBIで月2万円・実録と新NISAとの優先順位

増額しない理由①:60歳まで"動かせないお金"をこれ以上増やしたくない
一番大きな理由はこれです。iDeCoのお金は、原則60歳まで引き出せません。
私は今49歳で、目標は60歳での退職です。つまりiDeCoに入れたお金が動かせるようになるまで、あと11年。逆に言えば、60歳までの11年間は「絶対に手をつけられないお金」になります。
40歳から投資を始めたレイトスターターの私にとって、この「流動性のなさ」は軽視できません。
- 親の介護や自分の病気など、40代後半〜50代は想定外の出費が起きやすい年代
- 相場が大きく下げたとき、追加投資に回せる現金があるかどうかで結果が変わる
- iDeCoに固めすぎると、いざというときに動かせる資産が痩せていく
私は実際、コロナショックのとき(2020年)に手元の現預金約300万円を使って200万円を追加投資し、その後の回復で大きく資産を伸ばした経験があります。あのとき「手元に動かせるお金」があったことが、結果的に効いたと振り返っています。
枠が広がったからといってiDeCoに資金を寄せすぎると、こうした「いざというときの一手」が打てなくなる。私にとっては、節税メリットよりこちらの自由度のほうが大事だと考えました。
増額しない理由②:私が新NISAを先に選ぶのは"いつでも引き出せる"から
2つ目の理由は、私の出口戦略の組み立て方にあります。
私は60歳で退職し、その後は配当を生活の土台にしていく計画です。現時点で年間配当は約120万円(税引後)。これを60歳に向けて積み上げつつ、ポートフォリオを今の高配当株中心(約80%)から、高配当比率を徐々に下げ、60歳代前半を目安に半々に近づけていく方向で考えています。
この移行を支えているのが新NISAです。
- 新NISAは年間360万円の枠を、私はフル活用している
- つみたて投資枠でオルカン・S&P500を積み立て、海外比率を引き上げ中
- 新NISAは非課税かつ、必要なときに売却して引き出せる(流動性がある)
iDeCoとの一番の違いは、この「引き出せるかどうか」です。同じ非課税メリットでも、新NISAは60歳を待たずに使えます。
限られた毎月の投資額をどこに振り分けるか、と考えたとき、私の場合は「60歳まで動かせないiDeCoを増やす」よりも「いつでも動かせて出口戦略にも直結する新NISAを優先する」ほうが理にかなっていました。だから今回、iDeCoの増額枠は使わない、という結論になります。
増額しない理由③:年72,000円の節税より"使える時期"を取った
「でも、増額すれば節税できるよね?」という声が聞こえてきそうです。その通りなので、ここは数字で正直に検討します。
私のケース(仮に年収600万円・所得税率20%・住民税10%とした場合)で、iDeCoを月2万円(年24万円)拠出した場合の節税効果は、年間約72,000円(所得税20%+住民税10%の合計)です。
仮に上限が広がってさらに拠出を増やせば、この節税額はもっと大きくなります。ここだけ見れば、増額しない手はないように思えます。
ただ、私はこう考えました。
- 節税で戻ってくるのは、あくまで「拠出額の一部」(税率分)であって、お金が増えるわけではない
- その代わりに、拠出した元本そのものは60歳まで動かせなくなる
- 私はその「動かせなくなる金額」を、これ以上増やしたくない
節税はうれしい。でもそれは「60歳まで資金をロックする」という対価とセットです。私はすでに月2万円のiDeCoと新NISA360万円で十分な非課税枠を使えています。これ以上ロックを増やしてまで追加の節税を取りにいくより、「使える時期に使える形でお金を持っておく」ほうを選びました。
節税額の試算は、判断材料の一つにすぎません。最後に効いてくるのは「そのお金を、自分はいつ・どう使いたいのか」という出口の設計だと、9年やってきて感じています。
※ 上記の節税額はあくまで個人の条件(年収・家族構成・各種控除等)に基づく概算です。実際の節税効果は人によって大きく異なります。ご自身のケースは、税理士やお勤め先、金融機関にご確認ください。
→ iDeCoとNISA、40代はどっちが先?9年で6,000万に届いた会社員の答え
増額しない理由④:退職所得控除の枠が退職金でほぼ埋まっている
出口でも試算しています。
私の退職金の予想額は約1,303万円(勤続37年・会社規定ベースの概算)。勤続37年の退職所得控除は1,990万円です。月2万円のまま積み上げると60歳時のiDeCo残高は約541万円(年利5%複利の試算値)。退職金との合計は約1,844万円で、控除1,990万円の枠内に収まります——推定課税はゼロです。
しかし増額すると残高が積み上がり、退職金との合計が1,990万円を超えてきます。
| 掛金 | 60歳時iDeCo残高(5%複利試算) | 退職金+iDeCo合計 | 課税対象 |
|---|---|---|---|
| 月2万円(現状) | 約541万円 | 約1,844万円 | ゼロ(146万円の余裕) |
| 月27,000円(DB改正後の目安) | 約688万円 | 約1,991万円 | わずかに超過 |
| 月62,000円(企業年金なし上限の仮定) | 約1,329万円 | 約2,632万円 | 約642万円→推定税額22万円 |
節税して積み上げたお金が、出口での課税として跳ね返ってくる——それが増額を見送る4つ目の理由です。今の月2万円なら控除の枠にちょうど収まる。増やしすぎると、せっかくの節税効果を出口で払い戻すことになります。
※ 退職金の予想額・iDeCo残高はあくまで試算値です。実際の税負担は運用成績・退職金額・税制改正・受け取り順序によって変わります。受け取り前に税理士等の専門家への相談を推奨します。
→ iDeCo出口戦略|退職金と同じ年に受け取ると税金は?合算計算を試算した記録

上限拡大を活かすべき人・見送ってよい人の整理
ここまで「私は増額しない」と書いてきましたが、これはあくまで私の状況での判断です。上限拡大が向く人もいます。最後に整理しておきます。
上限拡大を活かす価値がありそうな人
- 60歳まで20年以上あり、資金をロックする期間が苦にならない若い世代
- 手元の生活防衛資金や、いざというときの現金が十分に確保できている人
- 課税所得が高く、節税メリットがそのまま大きく効く人
増額を見送ってもよさそうな人(私はこちら)
- 60歳までの年数が短く、引き出せない期間とのバランスを取りたい人
- 新NISAなど、引き出せる非課税枠をまだ使い切れていない人
- 介護・病気など、近い将来に大きな支出の可能性がある人
大事なのは「枠が広がったから埋める」ではなく、「自分の出口から逆算して、必要な分だけ使う」という順番だと思います。制度はあくまで道具で、主役は自分の人生設計のほうです。
まとめ:iDeCoの上限拡大は「使う前に出口から考える」
最後に、この記事の要点を整理します。
- 2026年の改正で、会社員のiDeCo掛金上限が月6.2万円方向へ拡大される
- 私は2019年に月1.2万円で開始し、2024年に月2万円へ増額した経験がある
- それでも今回は増額を見送る。理由は「60歳まで引き出せない資金を増やしたくない」「出口に直結する新NISAを優先したい」「節税より使える時期を取りたい」「退職所得控除の枠が退職金でほぼ埋まっている」の4点
- 私のケースでのiDeCo月2万円の節税効果は年約72,000円(所得税20%+住民税10%)。それでも増額はしない
iDeCoの上限拡大は、たしかに前向きな改正です。ただ、枠が広がったことと、自分がそれを埋めるべきかは別の問題でした。「上限が増えた=得」と即断せず、自分の出口から逆算して必要な分だけ使う。この順番を持っておくだけで、制度に振り回されずに済むと、私は感じています。
枠を埋めるかどうかは、その後でいい。「いつ、どう使いたいか」を先に決める——それが、私が9年で学んだ、一番大きな"お金との付き合い方"でした。
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
本記事は筆者個人の経験と見解に基づくものであり、特定の金融商品の購入や投資行動を推奨するものではありません。iDeCo・NISA等の制度内容や税制は改正される場合があります。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で、必要に応じて専門家にご相談のうえ行ってください。
