本記事は私個人の体験・調査に基づく記録です。介護保険制度の内容は2026年6月時点の情報であり、法改正等により変わる場合があります。個別の判断はご自身でお調べのうえで行ってください。
40歳になった月から、給与に「介護保険料」が加わった
「使えもしないのに引かれるの?」——40歳で初めて給与明細の健康保険料欄が跳ね上がったとき、これが正直な感想でした。
40歳を迎えると、給与から介護保険料が天引きされ始めます。私の場合、健康保険料29,400円の中に介護保険料が含まれる形で月約4,000円前後が徴収されています(この29,400円は介護保険料を含んだ合算額です)。
2017年、40歳で投資を始めたタイミングで、給与明細を毎月スプレッドシートに記録するようになりました。そのとき初めて「健康保険料が約4,000円上がっていた」という事実に気づきました。調べてみると、40歳から介護保険の第2号被保険者になったことで、介護保険料が健康保険料と一緒に引き落とされるようになっていたのです。
でも、9年間払い続けながら仕組みを理解していくと、見え方が少し変わってきました。40代が介護保険について知っておくべきことを書きます。
この記事でわかること
- 40歳から介護保険料がいくら天引きされるか(実額と計算方法)
- 「40代(第2号被保険者)は使えない」が正しいのか、例外はあるのか
- 介護保険で実際に何のサービスが受けられるか・いつまで払うか
- 40代として「親の介護」リスクをどう考えるか
介護保険料はいくら?40歳から天引きが始まる仕組み

健康保険料の中に上乗せされる形で徴収される
会社員の場合、介護保険料は健康保険料と一緒に給与から差し引かれます。協会けんぽに加入している会社員の場合、給与明細の「健康保険」欄に介護保険料が含まれた形で記載されていることが多く、私の明細でも合算されています(別行で「介護保険」と表示する会社もあります)。
介護保険料の計算方法(2025年度・協会けんぽ)
| 区分 | 料率 | 本人負担 |
|---|---|---|
| 介護保険料率(全国一律) | 1.59% | 0.795%(会社と折半) |
協会けんぽの介護保険料率は全国一律で、会社と折半します。私の標準報酬月額から計算すると、介護保険料の本人負担分は月約4,000円前後になります。
💡 補足 健康保険料率は都道府県ごとに異なりますが、介護保険料率(1.59%)は全国共通です。40歳未満は健康保険料のみ、40歳以上64歳以下は健康保険料+介護保険料がセットで徴収されます。39歳の誕生日前日までは介護保険料がかからないため、40歳を境に天引き額が上がります。
給与明細で確認してみましょう
協会けんぽの場合、給与明細に「健康保険」として合算で記載されることが多いですが、会社によっては「介護保険」として別行で記載されている場合もあります。
標準報酬月額が同程度の場合の目安として:
| 標準報酬月額 | 介護保険料(本人負担・月額の概算) |
|---|---|
| 38万円 | 約3,000円 |
| 44万円 | 約3,500円 |
| 50万円 | 約4,000円 |
| 56万円 | 約4,500円 |
⚠️ 注意 上記は2025年度・協会けんぽの介護保険料率(0.795%)を使った参考値です。健康保険組合に加入している場合は料率が異なります。正確な金額は会社の給与担当または年間保険料通知書でご確認ください。
介護保険料はいつまで払う?65歳以降の変化
64歳までは給与から天引き(健康保険料に含まれる形)ですが、65歳になると第1号被保険者に移行し、年金から天引きになります(年金額が月1万5,000円未満の場合は自分で納付)。支払い自体は生涯続きます。天引きの方法と区分が変わるだけで、保険料を払うことはなくなりません。
40代(第2号被保険者)は介護保険を使えない?例外の特定疾病とは

結論から言うと、原則として40〜64歳は介護保険のサービスを利用できません。ただし、例外があります。
第1号被保険者と第2号被保険者の違い
介護保険は、加入者を2つの区分に分けています。
| 区分 | 対象年齢 | 保険料の徴収方法 | サービスを使える条件 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 65歳以上 | 年金から天引き(または自分で納付) | 要介護・要支援の認定を受ければ利用可 |
| 第2号被保険者 | 40〜64歳 | 健康保険料と一緒に給与から天引き | 特定疾病が原因の場合のみ |
40代の私たちは「第2号被保険者」に該当します。この区分では、原則として介護保険のサービスは使えません。ただし、特定の疾病が原因で介護が必要になった場合に限り、利用できます。
第2号被保険者が使える「特定疾病」(代表例)
厚生労働省が定める特定疾病のうち、代表的なものを挙げると:
- 初老期における認知症(若年性認知症)
- 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)
- 末期がん
- 関節リウマチ(進行性)
- パーキンソン病関連疾患
- 糖尿病性の合併症(神経障害・腎症・網膜症)
これらを含む16の特定疾病に該当する場合、40代であっても要介護認定を受けることで介護保険サービスを利用できます。全16種の一覧は厚生労働省の特定疾病一覧でご確認ください。
💡 ポイント 「40〜64歳は使えない」という表現は厳密には正確ではありません。健康な状態では使えませんが、特定疾病がある場合には利用できます。「原則として自分では使わない年代の保険料を払っている」というのが実態に近い表現だと感じています。
65歳まで待ったら——何のサービスが使えるのか

65歳になって第1号被保険者になると、要介護認定を受ければさまざまなサービスを利用できます。自己負担は1〜3割(所得に応じて変動)です。
主な介護保険サービス
居宅サービス(自宅で受けるサービス)
- 訪問介護:ホームヘルパーが自宅で生活援助・身体介護を行う
- 訪問看護・訪問リハビリ:看護師・療法士が自宅に来る
- デイサービス(通所介護):日中施設に通い、入浴・食事・リハビリを受ける
- 短期入所(ショートステイ):一時的に施設に泊まる
施設サービス(入所して受けるサービス)
- 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上が入居条件
- 介護老人保健施設(老健):リハビリ・在宅復帰を目指す施設
⚠️ 注意 介護保険サービスの利用には、まず「要介護認定」の申請が必要です。認定区分(要支援1〜2・要介護1〜5)によって、利用できるサービスの限度額が異なります。また、施設によっては居住費・食費が別途かかります。詳細は厚生労働省の介護保険制度の概要でご確認ください。
40代が本当に考えるべき「親の介護」という視点
9年間介護保険料を払い続けながら、「自分のためではなく、今の高齢者のために払っている」という認識が変わったのが、親が60代後半に差し掛かった頃でした。
介護保険は「次世代への仕送り」の仕組み
介護保険料の財源は、保険料(第1号・第2号の折半)と税金(国・都道府県・市区町村)から成り立っています。今の40代が払っている保険料の一部は、現在介護サービスを利用している高齢者を支えています。
将来、自分や親が65歳以上になって介護が必要になったとき、その費用を社会全体で分担して支える——これが介護保険制度の根幹にある考え方です。
💡 ポイント 「払っているのに使えない」という感覚は自然な疑問だと思います。ただ、現役世代の親・祖父母がすでに利用している制度を支えていると考えると、少し見え方が変わります。私自身、亡くなった祖母が要介護認定を受けて在宅介護・デイサービスに通っていた頃、「あの保険料で何ができるか」を初めてきちんと調べました。
40代が備えておくべき「介護費用」の現実
親の介護に関わるとき、介護保険で全額カバーされるわけではありません。
主な自己負担の内訳:
- 介護保険サービス自己負担(1〜3割)
- 施設入居費・食費・居住費(介護保険対象外)
- 福祉用具の購入費(一部対象外)
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、在宅介護の月平均費用は約4.6万円、施設介護では月平均約11.8万円という数字が出ています。介護保険の給付だけでは不足する部分が生じることも多く、「老後資金」の中に介護費用も含めて備えておく発想が重要だと感じています。
⚠️ 注意 介護費用は個人の状況・利用する施設・地域によって大きく異なります。上記はあくまで参考値です。正確な情報は生命保険文化センターや市区町村の窓口でご確認ください。
9年払い続けて——2024年に労務担当になって気づいたこと

2024年に転勤して労務・財務も担当するようになり、社員の給与明細に介護保険料がどのように反映されているかを日常的に見るようになりました。
40歳を迎えた社員の月次負担額が変わる場面を見ていると、「この変化に本人が気づいているか」が気になります。給与明細の「健康保険」欄に含まれているため、気づかないまま数年過ぎてしまうことも少なくないと感じています。
私自身も、投資を始めてから給与明細をスプレッドシートで管理するようになるまで、介護保険料が含まれていることを意識していませんでした。
給与明細を一行ずつ確認する習慣は、こうした「気づいていない天引き」を把握することにもつながります。
→ 給与明細の天引き5項目を全部開示した記録:40歳から天引きされる社会保険料の実額(給与明細公開)
まとめ
- 40歳から介護保険の第2号被保険者になり、給与から介護保険料が天引きされる(2025年度・協会けんぽの料率1.59%・本人負担0.795%。月約4,000円前後・標準報酬月額による)
- 私の健康保険料29,400円は介護保険料を含んだ合算額
- 40〜64歳は原則として介護保険サービスを使えないが、特定疾病(16種類)がある場合は例外
- 65歳以上(第1号被保険者)になれば、要介護認定を受けることで居宅・施設サービスが利用可能(自己負担1〜3割)。保険料の徴収は年金天引きに変わる
- 今払っている介護保険料は、現在の高齢者を支える財源。将来自分が使う権利にもなる
- 40代は親が介護サービスを必要とし始める時期でもある。施設介護の月平均約11.8万円(2021年度調査)に備えて、老後資金の中に介護費用を織り込んでおくことが重要
9年前の私は「損だ」と思っていました。今は「順番に支え合う列の、自分の番」だと捉えています。次は親の介護、そしていつか自分の番が来る。その備えを早めに考えるきっかけとして、この記事が役に立てば嬉しいです。
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
→ 社会保険を調べて民間保険を見直した体験:40代の保険見直し|社会保険を知り民間保険を解約、月6,000円をNISAへ
→ 老後の年金実額と受取時期の考え方:厚生年金はいくらもらえる?ねんきんネットで確認した40代の実額と試算
本記事は私個人の体験・調査に基づく記録です。介護保険制度の内容・保険料率は2026年6月時点の情報であり、法改正や保険者の変更等により変わる場合があります。記載の金額は参考値です。正確な保険料は給与明細・会社の担当部署・協会けんぽ等でご確認ください。介護サービスの利用可否・費用は個人の状況により異なります。
