⚠️ 免責事項
本記事は個人の読書体験・投資経験をもとにした情報提供です。特定の書籍・金融商品への投資を勧誘・推奨するものではありません。掲載内容は作成時点のものです。投資判断はご自身の責任で行ってください。
「オルカン思考」(代田秀雄著)を読み終えて、最初に浮かんだ感想はこれでした——自分が毎月積み立てているものの「作った人の顔」が、初めて見えた。
私は新NISAのつみたて投資枠で、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を毎月積み立てています。でも正直に言うと、「低コストで全世界に分散できるから」という理由で選んだだけで、この商品が誰が・何を考えて作ったのかを知らないまま買い続けていました。
この本は、そのオルカンを作った本人——三菱UFJアセットマネジメントの代田秀雄さんが初めて書いた一冊です。読み終えたいま、オルカンへの理解が深まっただけでなく、下落局面で売らずに持ち続ける「握力」が強くなったと感じています。この記事では、その理由を書きます。

この記事でわかること
- 「オルカン思考」がどんな本か(著者・構成・推薦者)
- オルカンの「生みの親」が書いた本を、実際の積立当事者が読むと何が起きるか
- 「投資は増やしながら使いなさい」——40代の私に一番刺さった章
- 読後に「握力」が強くなった理由
「オルカン思考」はどんな本か|著者・代田秀雄さんと全6章の内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書 |
| 著者 | 代田秀雄(三菱UFJアセットマネジメント) |
| 出版社・発売 | Gakken・2026年4月 |
| 構成 | 全6章+はじめに・おわりに |
(出典:Gakken 書籍ページ)
著者の代田さんは、30年以上資産運用の現場に携わり、eMAXIS Slimシリーズ、そして純資産総額で日本最大級の投資信託となったオルカンを世に出した人物です。本書はその「生みの親」による初の著書で、「日本の投資文化を変える熱い思いが伝わる」(橘玲さん)、「インデックス投資25年の実践者として、著者の言葉は真実そのものだ」(水瀬ケンイチさん)という推薦が並びます(推薦文はGakken公式書籍ページより)。
構成は、長期投資の考え方(第1章)→ オルカンが生まれるまで(第2章)→ 長く持つ力(第3章)→ お金の使い方・出口(第4章)→ 著者がオルカンでやりたかったこと(第5章)→ Q&A(第6章)という流れです。商品説明の本ではなく、「なぜ長期投資なのか」を作り手の側から語った本でした。
「作った人の顔が見える」と、積立は変わる

私がこの本で一番読みたかったのは、第2章——オルカンが生まれるまでの話でした。
オルカンは、いまでこそ「とりあえずこれ」と言われる定番ですが、最初からそうだったわけではありません。低コストのインデックスファンドは、運用会社にとっては薄利の商品です。それをなぜ作ったのか、どんな思いで信託報酬を下げ続けてきたのか——そこには「日本の投資文化を変えたい」という作り手の意図があったことが、本人の言葉で語られています。
読みながら気づいたのは、自分がオルカンを「便利な金融商品」としか見ていなかったことです。中身の銘柄は調べたことがあっても、作った人の考えを知ろうとしたことはなかった。この本を読んで、毎月の積立が「誰かが目的を持って設計した仕組みに乗ること」なのだと、輪郭がはっきりしました。
→ オルカンのキオクシア割合は?株価75倍でも全体の1%未満(中身の銘柄を調べた記事です。本書と合わせると「中身」と「思想」の両方がつながります)
読み終えたのは日曜の午後でした。本を閉じてすぐ、無意識に証券アプリを開いて、自分の積立設定の画面を眺めていました。毎月同じ日に同じ金額が引き落とされていくだけの、何の変哲もない設定画面。でもその一行が、この日から少し違って見えました。
💡 ポイント 投資信託は「何を買うか」だけでなく「誰が運用しているか」も含めた商品です。目論見書や月次レポートではわからない「設計者の意図」を知れるのは、生みの親自身が書いた本ならではの価値です。
一番刺さったのは「投資は増やしながら使いなさい」

意外だったのは、この本で一番私に刺さったのが「増やし方」ではなく「使い方」の章(第4章)だったことです。
私は49歳で、資産形成としては「貯める・増やす」を9年やってきました。ただ、正直に言うと「使う」がずっと苦手です。増やすことが目的化して、取り崩す・使うことに罪悪感すら覚える——この感覚に、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
「投資は増やしながら使いなさい」という第4章は、まさにそこに向けて書かれています。資産形成の出口は「全部売って現金化する日」ではなく、増やす仕組みを持ったまま、人生に使っていくプロセスなのだという視点です。60歳からの出口戦略を考え始めている私には、この章だけでも読んだ価値がありました(「使えない症候群」に悩んできた話と出口の設計は、記事末尾の関連記事にまとめています)。
山崎元さんの話と、「ほったらかし投資術」との繋がり
本書には、「ほったらかし投資術」の著者・故・山崎元さんとのやり取りも登場します。低コストインデックス投資を日本に根付かせようとした人たちが、立場は違えど同じ方向を向いていたことが伝わる部分で、「ほったらかし投資術」を読んだことがある方なら、この繋がりはぐっとくるはずです(詳細はぜひ本書で読んでください)。
→ 「ほったらかし投資術」を9年実践した結果|40代会社員のリアル答え合わせ
【感想・評価】読後、オルカンの握力が強くなった——積立当事者の本音

投資の世界では、下落しても売らずに持ち続ける力を「握力」と呼んだりします。私がこの本を読んで得た一番の変化は、知識ではなく、この握力でした。
直近の2026年6月も、日経平均が急落を挟んで大きく揺れた1ヶ月でした。オルカンも無傷ではいられません。そういう局面で積立を止めない・売らないためには、「長期では世界経済が成長するから」という一般論だけでは、正直心もとない。「この商品は誰が、何のために、どういう思想で作ったのか」を知っていることが、もう一段深い納得になると感じました。
ここで白状すると、私の「握力」には偏りがありました。高配当株は、自分で四季報や決算を調べて選んだ銘柄です。だからコロナショックの含み損でも「納得して選んだものだ」と握り続けられました。一方のオルカンは「みんなが良いと言う定番」として選んだだけで、同じ質の納得を持っていなかった。個別株では効いていた握力が、オルカンには効いていなかったのです。この本が変えたのはそこでした。個別株で持っていた「調べて納得したから売らない」を、オルカンにも移植してくれた。それが、この一冊でした。
💡 補足 本書を読んでも、相場の下落そのものは避けられません。効果があるのは「下落時の自分の行動」に対してです。私の場合、コロナショックで売らずに済んだ最大の理由は「自分が納得して選んだものだった」ことでした。納得の材料を増やすことは、長期投資の実務的な備えだと考えています。
こんな人に向いている・向いていない
向いていると感じた人
- すでにオルカンを積み立てていて、「なんとなく」で続けることに不安がある人
- 下落局面で積立を止めたくなった経験がある人
- 資産を「増やす」の先——使い方・出口まで考え始めた40代・50代
合わないかもしれない人
- 個別株の銘柄選定術や短期の値動き予想を求めている人(そういう本ではありません)
- オルカン以外のインデックスとの詳細な比較データを求めている人(S&P500との比較などは別途調べる必要があります。記事末尾の関連記事も参考にしてください)
まとめ|「なんとなく積立」を「納得して積立」に変える一冊
- 「オルカン思考」はオルカンの生みの親・代田秀雄さんによる初の著書(Gakken・2026年4月)
- オルカンが生まれるまでの経緯・長期投資の考え方・お金の使い方(出口)までを作り手の視点で語る
- 私に一番刺さったのは第4章「投資は増やしながら使いなさい」——「使えない症候群」の40代にこそ効く
- 読後の一番の変化は知識ではなく握力。「なんとなく積立」が「納得して積立」に変わった
毎月自動で積み立てていると、自分が何を買っているのか、考える機会は意外とありません。この本は、その「考える機会」そのものでした。オルカンを持っている人が読めば、明日、証券アプリの積立設定画面を開いたときに見えるものが、少し変わると思います。
→ 高配当株は売らない出口戦略。49歳・6,000万円が設計した年金・配当・月25万円の3本柱
→ 50代の資産設計とライフプラン|「ラストエリクサー問題」に気づくまで
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
本記事は筆者個人の読書体験・投資経験の記録です。特定の書籍・金融商品の購入を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
