⚠️ 免責事項

本記事は私個人の転勤・住居・資産形成に関する体験記録です。持ち家・賃貸の選択を勧誘・助言するものではありません。住まいの選択は個々の状況・ライフプランによって異なります。

転勤族の資産形成を考えるイラスト

持ち家を買わなかったから、9年で6,000万円になれた——とまでは言えない。ただ、転勤族だったことが、確かに資産形成に有利に働いたと感じています。

資産形成を始めてからの9年間で、住む場所は変わりました。西日本に4年、その後は首都圏の2ヶ所に合わせて5年。今もどこかに定住するイメージは持てていません。なお、転勤自体は入社以来ずっと続いており、この9年はその一部にすぎません。

その間、持ち家を買いませんでした。

「買えなかった」ではなく「買わなかった」——ただし、これは私の状況と価値観の話です。持ち家vs賃貸に優劣があるとは思っていません。その点は最初に断っておきます。


📋 この記事のサマリー

項目 内容
筆者プロフィール 転勤族サラリーマン・9年で500万→6,000万
転勤歴 西日本4年→首都圏2ヶ所で5年(資産形成開始後の9年間。転勤自体は入社以来継続)
持ち家 全期間、自己購入の持ち家なし(実家/借り上げ社宅/賃貸)
この記事の立場 持ち家vs賃貸の優劣は語らない。転勤族×資産形成の体験記録として書く

※筆者の個人的な体験です。住まいの選択に正解はありません。


転勤族の最大の武器——借り上げ社宅

年間100万円以上。それが、会社が肩代わりしてくれていた家賃の差額です(個人試算)。

私の勤務先には、借り上げ社宅制度があります。会社が民間の賃貸物件を借り上げ、社員は格安の自己負担額で住める仕組みです。

首都圏での3年間、この制度をフル活用しました。自己負担は月に数千円から2万円程度。首都圏で同条件の物件を自分で借りた場合と比べると、月に十数万円の差が生まれます。年換算で100万円以上です(※私の物件・家族構成・自己負担額における個人的な試算です。制度内容は会社ごとに大きく異なります)。

資産形成の方程式でも書いたように、収入から支出を引いた残りが投資の原資になります。支出を大きく削れる期間があったことは、9年間の資産形成において非常に重要でした。会社が家賃を負担してくれた数年間、その分はほぼそのままNISAやiDeCoの積立に向かいました。

私の場合は、制度を使えるうちに使い切る方針で動きました。制度の内容・自己負担額・税務上の取扱いは会社ごとに異なるため、詳細は勤務先の人事部門にご確認ください。


持ち家をバランスシート(B/S)で読んでみた

同僚の多くは、結婚や子育てのタイミングで持ち家を購入しました。その選択を否定するつもりはありません。ただ、私は財務的な視点で持ち家を考えたとき、「今の自分には合わない」という結論に至っていました。

バランスシート(B/S)の考え方で整理してみます。

例えば4,000万円の住宅を住宅ローンで購入したとします。購入時のB/Sはこうなります。

  • 資産の部:住宅4,000万円
  • 負債の部:住宅ローン4,000万円

※上記はあくまで簡略化した例です。実際には仲介手数料・固定資産税・住宅ローンの返済金利など、さまざまなコストが発生します。

この状態では、資産と負債が等しい。住宅ローンを返済していくと負債は減り、住宅評価額との差(純資産)が積み上がっていきます。一方で住宅価値も時間とともに変動します。「住宅価値がローン残高を上回るか」——この差がプラスかマイナスかが、財務的な目安のひとつです。

住宅価値がローン残高を上回れば含み益。逆なら含み損(オーバーローン)の状態になります。

※実際に売却しない限り、この損益は確定しません。住み続けることで得られる居住の価値も、財務計算には含まれていません。

転勤族にとってリスクになるのは、「住みたいのに住めなくなる」ケースです。私の周囲にも、持ち家を購入した数年後に転勤となった先輩が何人もいました。家族の事情で本人だけが単身赴任となり持ち家に住めなくなるケース、家族全員が転勤先に移り住むため持ち家を誰かに貸すしかないケース——いずれも、住宅ローンの支払いが続く中でさまざまな対応を迫られていました。

ローンの支払いは続いている。でも、誰も住んでいない。

その状況を間近で見てきたことも、私が慎重になった理由のひとつです。

持ち家について考えるイラスト

持ち家か賃貸か——それは価値観の問題だと思っている

持ち家を「投資」として見るか、「家族の安心・幸せを買うもの」として見るかは、価値観の問題です。

転勤のない仕事に就いている方、「ここを終の棲家にしたい」と思える場所に出会った方、マイホームで家族との時間をつくることに価値を感じる方——こうした方にとって、持ち家の意味は財務的な数字だけでは測れません。

私の場合は、転勤があること・定住のイメージがまだ持てないこと・借り上げ社宅制度があること——この3つの条件が重なって、「今は買わない」という判断になっただけです。将来的に持ち家が欲しいと思う時がくるかもしれません。その時はその時で、改めて考えればいいと思っています。

バビロン大富豪の教えの第5の教え「より良きところに住め」を、私は「住む場所に縛られない稼ぎ方を身につけること」と解釈しています。持ち家か賃貸かより、どこにいても資産を育てられる仕組みをつくる方が、自分には合っていると感じているということです。

住まいの選択に正解はありません。それぞれの状況と価値観で決めるものだと思っています。


転勤族だったから、見えたもの

正直に言えば、転勤をポジティブに捉えられるようになったのは、ここ数年のことです。最初の転勤の時は、慣れた土地を離れることへの不安の方が大きかったです。

ただ今振り返ると、住む場所が変わるたびに得られたものがあります。

土地が変われば、文化も食も職場の雰囲気も変わります。同じ会社でも、地域によって仕事のやり方が違うことも学びました。引っ越しのたびに持ち物を整理するので、「本当に必要なもの」だけが残ります。物が増えにくく、生活がシンプルになるのも転勤族ならではです。

こうした身軽な生き方が、「仕組みをつくって放置する」長期投資のスタイルと相性が良かったのかもしれません。

この記事を書きながら、ひとつの言葉を思い出しました。渡辺和子さんの著書のタイトルにある「置かれた場所で咲きなさい」という言葉です。住む場所や境遇に不平を言うのではなく、その場所で懸命に使命を果たすことが大切だ、という意味だと受け取っています。

どの土地でも、出会いがありました。学びがありました。その場所で出会った人たちへの感謝を胸に、どんな場所に置かれても素敵な花を咲かせたい——転勤族として転々とした年月が、今そう思わせてくれています。


まとめ

  • 借り上げ社宅制度を活用した数年間が、投資資金の原資として大きく働いた
  • B/S視点では「住宅価値がローン残高を上回るか」が財務的な目安になる
  • 転勤族にとって「住みたいのに住めなくなるリスク(オーバーローン含む)」は実在する
  • 持ち家vs賃貸は価値観次第。投資として見るか、家族の安心や幸せとして見るかで答えは変わる
  • 転勤族ならではの身軽さ・視野の広がりは、資産形成以外でも財産になった

家は建てなかった。代わりに、どこに飛ばされても崩れない資産の土台を建てた。9年後の今、その選択を後悔していません。

自分のスタイルで投資を続けるイラスト

本記事は個人の体験(2017〜2026年)に基づく記録です。持ち家・賃貸の選択を勧誘・助言するものではありません。住まいの選択は個々の状況・ライフプランによって異なります。投資に関する内容は特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。借り上げ社宅に関する税務・労務上の取扱いは会社ごとに異なります。詳細は勤務先または専門家にご確認ください。