本記事は私個人の投資経験と学びの記録です。筆者は金融商品取引業者ではなく、本記事は金融商品取引法上の投資助言に該当しません。特定の金融商品への投資を勧誘するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。

💡 40歳のときに気づいた——「真面目に働いて貯金すれば安心」は本当か

資産形成の方程式を考えるイラスト

40歳のとき、私は気づきました。「真面目に働いて貯金していれば安心」——この前提が、もう成立していないかもしれないと。

資産形成を突き詰めると、一行の式で表せます。

収入 − 支出 + 資産 × 利回り = 資産の増減額

※ この式はある期間の資産変化分(フロー)を表す参考式です。プラスなら資産が増え、マイナスなら減ります。

この式のどこかを動かさない限り、資産は増えません。逆に言えば、どこか一つを動かせば、必ず結果が変わります。

40歳で投資を始めた私が最初にやったことも、この方程式に当てはめて考えることでした。

📊 40代の資産形成を変える3つの変数

方程式の3変数を学ぶイラスト

① 収入を増やす(労働収入+資本収入)

収入には「労働収入」と「資本収入」があります。労働収入は給与・副業など働いて得るお金。資本収入は配当・家賃収入など、資産が生み出すお金です。

40代のサラリーマンが給与を急に大幅に増やすのは容易ではありません。だからこそ、資本収入(配当)を育てることに意味があります。私が高配当株に注目した理由の一つはここにあります。高配当株の選び方については「9年間売らずに済んだ7つの基準」にまとめています。

② 支出を減らす(貯蓄率を上げる)

3つの変数の中で、最初に手をつけるべきはここだと私は思っています。

支出を1万円減らす効果は、収入を1万円増やす効果と同じです。まず見直すべきは、家や車といった金額の大きい支出です。住居費・ローン・車の維持費は家計の中で最も大きなウェイトを占めることが多く、ここを一度適正化できると効果が大きい。

次に見直したいのが固定費です。スマホ代・保険・サブスクリプションなど、毎月自動的に出ていくお金は、一度見直してしまうと効果がずっと続きます。変動費(食費・交際費など)は月によってばらつきますが、固定費は削れば毎月確実に効いてきます。

私は投資を始めてから、貯蓄率を給与の50%近くに上げました。贅沢をやめたわけではありませんが、「何となく使う出費」を意識的に絞りました。この「入金力」が資産形成の土台になりました。

③ 資産 × 利回りを育てる(複利を時間で積み上げる)

方程式の中で、時間とともに最も大きくなる項目がここです。資産が増えるほど、同じ利回りでも生み出す金額が大きくなる。これが複利の力です。

仮に100万円を年率5%で運用すると、10年後は163万円、20年後は265万円になります(※税・手数料を考慮しない単純計算。実際の手取りはこれより低くなります。年率5%は参考値であり、将来の成果を保証するものではありません)。

私はインデックス投資(オルカン・S&P500)を新NISAのつみたて投資枠でドルコスト平均法により積み立て、成長投資枠で高配当株を積み上げています。両者の使い分けは「オルカンと高配当株どっち?」に書きました。

📌 方程式のポイント

① 収入を増やす(労働収入+資本収入) ② 支出を減らす(貯蓄率を上げる) ③ 資産×利回りを育てる(複利を時間で積み上げる)

この3つを同時に動かすと、資産形成は加速します。

📖 ピケティのR>Gが40代投資家に教える「資本を持つ意味」

ピケティのR>Gについて考えるイラスト

フランスの経済学者トマ・ピケティは、著書「21世紀の資本」(フランス語原著2013年、英語版Harvard University Press 2014年)の中で、歴史的なデータをもとにこんな法則を示しました。

R > G

R(資本収益率)> G(経済成長率)

ピケティの分析では、歴史的に見て資本収益率(R)は年率4〜5%程度、経済成長率(G)は年率1〜2%程度で推移してきたとされています。

平たく言えば、「働いて稼ぐ人」より「資産に働かせる人」の方が、長い時間軸では先に行く——そういう構造が、過去200年のデータから見えている、ということです。

方程式に戻すと、収入(労働)だけに頼る人は「G」のペースで戦っています。一方、「資産 × 利回り」という項を育てた人は「R」に参加できます。具体的には株式・ETF・REITといった資本性資産がその手段です。

※ R>Gはピケティによる歴史的観察に基づく仮説であり、将来においても同様の傾向が続くことを保証するものではありません。個別の投資が必ずプラスになることを示すものでもなく、元本割れのリスクは常にあります。

🏦 40代が「預金だけ」を選ぶとどうなるか——数字で見る

預金だけの選択を考えるイラスト

私が投資を始めた2017年頃、日本経済はまだデフレが続いていました。長い不況を経験してきた多くの日本人は、「物価が上がらない・むしろ下がる」という環境に慣れてしまい、預貯金を重視する傾向が定着していました。デフレの時代には、現金を持っていること自体が実質的に価値を保つ手段でもありました。

しかし、時代は変わりました。

日本では長らく「預金が一番安全」という意識が根強く残っています。ただ、その前提となっていたデフレ環境は変化しつつあります。ここで言う「安全」を少し分解してみます。

預金は元本保全という意味では安全です。一方、インフレ局面では実質的な購買力が目減りする可能性があります。この二つは別の話です。

方程式で言えば、「資産 × 利回り」の利回りがほぼゼロの状態です。働いて貯めたお金が、物価上昇分だけ実質的に減っていく。これが「何もしない」という選択の静かなコストです。

「投資はリスクがある」のは事実です。ただ、「預金だけが安全」という考え方も、実質購買力という観点では再考の余地があると私は感じています。最終的にどう判断するかは、ご自身の状況によります。

🚀 方程式を動かした9年間

9年間方程式を動かし続けたイラスト

私がこの方程式を意識的に動かし始めたのは40歳のときです。

  • 収入:本業の給与を維持しながら、資本収入(配当)を積み上げた
  • 支出:貯蓄率50%近くを維持し、毎月の投資資金を確保した

資産形成の古典『バビロン大富豪の教え』(ジョージ・S・クレイソン著)の最初の教えは「収入の10分の1を貯金せよ」。私が目指した50%は高い数字ですが、まずこの「10分の1を先取りする」という原則が、方程式を動かすスタートラインだと思っています。

  • 資産 × 利回り:高配当株・米国ETF・インデックスで運用し、複利を時間で積み上げた

あるとき、配当の入金通知を見て手が止まりました。本業で1ヶ月働いて得る金額に、株式が黙って近づいていた。「資産 × 利回り」が、もう一人の自分として働き始めていた瞬間でした。方程式の本当の意味が、数字ではなく実感として腹に落ちた瞬間です。

その結果、2026年時点で金融資産は約6,000万円、年間配当は税引き前で約110万円になりました(2017〜2026年・個人の実績。市場環境・入金額・期間が異なれば結果は大きく異なります。再現性を保証するものではありません)。

方程式をどこから動かすか

一度に3つ全部を動かす必要はありません。「支出を見直して投資資金を作る」→「新NISAで少額でも始める」→「時間をかけて資産×利回りを育てる」。この順番が、私には一番無理のない形でした。

❓ よくある質問

Q. 収入が少ないと方程式は機能しませんか?

金額の大小より「続けること」と「時間」の方が大きく影響します。収入が少なくても支出を絞って月1万円を投資に回し続けることと、高収入でも使い切ることでは、10年後に大きな差が出ます。方程式は金額より「動かし続けること」が鍵です。

Q. ピケティのR>Gは「株を買えば必ず儲かる」ということですか?

違います。R>Gは資本と経済全体の長期的な傾向についての歴史的観察です。個別の投資が必ずプラスになることを示すものではなく、元本割れのリスクは常にあります。「資本を持つ仕組みに参加することの長期的な意義」を考えるための参考として捉えています。

Q. 40代から方程式を動かしても遅くないですか?

遅くないと思っています。私自身が40歳から始めて9年でここまで来られたのは、方程式を意識して動かし続けたからです。40代からNISAを始めることへの不安がある方は「40代からNISAは遅い?」もあわせてどうぞ。


方程式は、知っているだけでは1円も生みません。動かして初めて、味方になる。私が9年で学んだのは、それだけです。

資産形成の具体的な始め方は「40代から投資を始める初心者へ」にまとめています。


投資は自己責任です。本記事の内容は特定の銘柄・商品・配分を推奨するものではありません。