ご利用にあたって 本記事は、筆者個人が銘柄を買う前に何を見ているかの記録です。筆者は金融商品取引業者・投資助言業者ではなく、特定の銘柄・投資手法を推奨するものではありません。記載の見方・数値はいずれも筆者個人の判断基準および目安であり、これが正しい分析方法であることを示すものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
高配当株を買う前に、私がIR資料(決算と中期経営計画)を見る観点は3つです。成長性・健全性・方向性。
ただし全部は読みません。専門家ではないので、セグメントの細かい内訳まで追うことはしていません。
IRとは、企業が投資家に向けて業績や経営方針を開示する活動のことです。決算短信や中期経営計画といった資料が、各社のウェブサイトで公開されています。
この記事でわかること
- 決算で見ている数字と、その見方
- なぜ営業キャッシュフローを特に見るのか
- 中期経営計画のどこを読むか
- どこを見ないと決めているか
- IRを見て買うのをやめた、3つのきっかけ
株を買うのは、その会社を丸ごと買うこと
はじめに、なぜIRを見るのかを書いておきます。

株式投資は、企業を丸ごと買う行為だと考えています。100株でも1,000株でも、その会社の一部を持つことに変わりはありません。
だとすれば、配当利回りや話題性、雰囲気といった表面的な情報だけで決めるのは違うのではないか。その会社の中身をきちんと調べてから判断したい——そう思ってIRを見ています。
これは自慢できる話ではありません。私自身、調べずに買って失敗しています。その顛末は別の記事に書きました。
どの段階でIRを見るか
順番があります。IRを見るのは候補を絞ったあとです。
まず利回りと財務の指標でふるいにかけます。PER・PBR・ROE・自己資本比率・配当性向の5つ——いずれも私が使っている目安です——で機械的に候補を減らし、配当方針や過去の配当推移も、この段階でIR資料を見て確認しています。
ここで見ているのは「今の水準」です。PERが15倍程度か、自己資本比率が50%以上か。ある一時点のスナップショットで、条件に合うかどうかを判定しています。
そのふるいを通った銘柄について、決算と中期経営計画をもう一段見ます。ここで見ているのは「変化の向き」と「これから」です。
| 見るもの | 見方 | |
|---|---|---|
| 候補を絞る段階 | PER・PBR・ROE・自己資本比率・配当性向・配当方針 | 今の水準が目安に合うか |
| 決算と中期経営計画 | 売上・営業利益・営業CF・財務CF・有利子負債・メイン事業・業績予想 | 過去と比べた変化の向きと、これから何をするか |
同じ自己資本比率でも、絞る段階では「50%以上あるか」、決算では「年々下がっていないか」を見ています。見ている数字は同じでも、見方が違います。
決算のどこを見るか|成長性は売上・営業利益・営業CFを過去と並べる
決算で最初に見るのは、この3つです。
- 売上
- 営業利益
- 営業キャッシュフロー(営業CF)
見方は共通していて、単年の金額そのものではなく、過去と並べて変化の向きを確かめます。伸びているのか、横ばいなのか、落ちているのか。
売上が5,000億円という数字だけ見ても、それが良いのか悪いのかは分かりません。去年が4,500億円だったのか、5,500億円だったのかで、意味がまるで変わります。
数字を1つずつ拾うのではなく、並べて傾きを見ます。それだけです。
キャッシュフローは財務CFも見ています。借り入れや返済でお金がどう動いているかが出るところです。
なぜ営業CFを、特に見るのか
3つのうち、特に見ているのは営業CFです。
営業CFは、本業できちんと稼げているかどうかの基準だと考えているからです。
ここがマイナスになっている企業は、本業で儲けていないと考えています。本業で儲けていなければ、会社にお金が回りません。私はそう受け取っています。
一時的な要因でマイナスになることもあるようですが、それを見分ける力が私にはありません。だから、マイナスなら見送るようにしています。
売上や利益が伸びていても営業CFが減っている、という状態もあります。そこは気になるところです。
健全性|自己資本比率と、借金の増え方
成長性の次に見るのが健全性です。

- 自己資本比率
- 有利子負債
- 借金や負債の状況
前の章で書いたとおり、自己資本比率は候補を絞る段階でも見ていますが、決算では推移として見ます。
いま50%あっても、5年前が70%だったなら下がり続けているということです。逆に、いま50%でも上がってきているなら見え方が違います。水準が同じでも、向きが逆なら意味が変わります。
有利子負債も同じで、増えているのか減っているのかを見ます。貸借対照表は隅々まで読みませんが、借金や負債がどうなっているかは確かめます。
中期経営計画のどこを読むか|メイン事業と、これから注力すること
数字を見たら、次は方向性です。ここは決算と中期経営計画の両方から拾います。
まずこの会社のメイン事業が何かを確かめます。どの事業で稼いでいる会社なのかが分かれば、そこで止めています。
そのうえで会社が出している業績予想を見ます。ここは大事だと考えています。会社自身がこれからをどう見ているかが表れるところだからです。もちろん予想が外れることはありますし、鵜呑みにするという意味ではありません。実績と並べて確かめる材料の一つにしています。
中期経営計画は全部は読みません。読んでいるのは主にコメントの部分で、どんな事業に注力しようとしているのかを確かめています。
数字の計画そのものより、これから何をする会社なのかを知りたいからです。ここは決算書をいくら眺めても出てきません。企業を丸ごと買うと考えるなら、この会社がどこへ行こうとしているのかは知っておきたいところです。
見ないと決めているところ
ここまで見てきて、逆のことも書いておきます。
あまり細かい数字は見ていません。
いちばん分かりやすいのがセグメント情報です。メイン事業が何かは見ますが、事業ごとの売上と利益を1つずつ突き合わせるようなことはしていません。貸借対照表も同じで、借金や負債は確かめますが、棚卸資産や売掛金といった細目までは追っていません。
理由は単純で、私は専門家ではないからです。IR資料を隅々まで読み解く力はありません。
IRの読み方を解説した記事や本はたくさんあります。多くは全部読む前提で書かれています。それができる人はそうすればいいと思いますが、私にはできませんでした。
だから切り上げる場所を決めています。足りない部分があるのは自覚したうえで、それでも、何も見ないよりは良いと考えています。
これを見て、買うのをやめたことがあります
見送ることはしばしばあります。候補を絞る段階の数字は目安を満たしていても、決算を見て買わなかった銘柄があります。

気になるのは、だいたい次のような点です。
| 気になる点 | 何を見てそう思ったか |
|---|---|
| 成長性に不安がある | 売上・営業利益が過去と比べて伸びていない、または落ちている |
| 営業CFが減少している | 本業で稼ぐ力が弱まっているかもしれない |
| 自己資本比率が年々下がっている | 水準は目安を満たしていても、向きが良くない |
これは私の判断の記録で、買ってよい・悪いを分ける基準ではありません。
そして1つ当てはまったら即除外、という決め方はしていません。気になる点が複数重なったときに見送っています。ひとつだけなら、他の要素と合わせて考えます。
いずれも候補を絞る段階では引っかからないものです。今の水準だけを見れば目安に合っている。過去と並べて初めて見えてきます。
まとめ
- 見るのは成長性・健全性・方向性の3つの観点。数字は単年の水準ではなく、過去と並べて変化の向きを確かめます
- 営業CFを特に見ています。本業できちんと稼げているかの基準で、ここがマイナスだと会社にお金が回らない、と私は受け取っています
- セグメントの細かい内訳までは追いません。専門家ではないので、そこで切り上げています
買う前にどこまで調べるかは、人によって違っていいと思っています。私の場合は、この3つの観点で見て、気になる点が重ならなければ買います。重なれば見送ります。
最終更新:2026年10月5日(新規公開)
