ご利用にあたって 本記事は筆者個人の投資経験と調査に基づく記録です。筆者は金融商品取引業者・投資助言業者ではなく、本記事は特定の金融商品・銘柄の購入・売却・保有を推奨するものではありません。投資判断はご自身の収入・資産状況・リスク許容度を踏まえて行ってください。
増配しやすい高配当株は、買う前の財務指標で「5つの特徴」をある程度ふるい分けできます。9年・96銘柄を保有してきた経験から、増配が続く銘柄と続かない銘柄には、買う前から見えやすい差があることに気づきました。
今回の決算シーズンで、保有株の約2割が増配を発表しました。前年の約110万円(税引後)から今期は約120万円(税引後)に到達しています。毎月平均10万円が給与とは別に入ってくる状態——投資を始めて10年目に達成するつもりだった目標を、9年目で前倒しで叶えることができました。96銘柄の中で約20銘柄の増配が重なった結果です。(※筆者個人の実績。再現性を保証するものではありません)
毎年この時期になると「なぜこの銘柄は増配したのか」「なぜあちらは据え置きだったのか」を自分なりに振り返ります。9年続けてわかってきた傾向と、痛い目に遭ったパターンをまとめます。
この記事でわかること
- 増配した銘柄に共通していた財務的な特徴5つ
- 高配当に見えて増配が続かない4つの罠パターン
- 私が購入前に実際に確認していること
そもそも株の利益には2種類ある

本題に入る前に、株式投資の利益の種類を整理しておきます。
キャピタルゲイン(値上がり益)とは、買った時より高い値段で株を売ったときの差益です。たとえば100万円で買った株が150万円になったところで売れば、50万円の利益になります。値上がりが前提のため、売るタイミングの判断が必要です。
インカムゲイン(配当・利息)とは、保有しているだけで定期的に入ってくる収益です。株の配当金がその代表例で、売却せずとも現金が振り込まれます。
私が9年間で積み上げてきたのはインカムゲインです。保有し続けることで配当が積み重なり、増配が続けば買った時点の投資額に対する利回りが年々上昇していきます。これを取得簿価ベースの利回りと呼び、私のポートフォリオでは投資開始時の3.7%前後から現在は約6.0%まで上昇しています。
この記事では、インカムゲインの中でも「増配(配当が増えること)」に着目して、9年間の経験をまとめます。
増配が続く高配当株に共通する5つの特徴

すべての増配銘柄を詳細に分析したわけではありませんが、保有株の中で増配が続いている銘柄には、共通して見えるものがあります。
1. 配当性向に余裕があった
配当性向とは、利益のうち何割を配当に回しているかの比率です。私が購入時に一つの目安にしているのは50%以内。この余裕があると、業績が多少落ちても配当を維持・増配できます。
私が保有している内需系・通信系のセクターでは、配当性向30〜40%台を維持しながら毎期少しずつ増配している銘柄が複数あります。一方で配当性向が80〜90%の銘柄は、ちょっとした業績悪化で配当を守れなくなることがあります。
2. ROEが複数年にわたって安定していた
ROE(自己資本利益率)が8%前後を複数年維持している銘柄は、利益を出し続ける体質があると考えています。増配は「利益が増えた結果として起きる」ことが多く、ROEが安定している銘柄はその前提条件を満たしやすいと感じています。
私が保有している銘柄でROEが10%台を7年以上維持しているものは、この9年間で複数回の増配実績がある割合が高い印象です。
3. 自己資本比率が高く、財務に余裕があった
私の目安は自己資本比率50%以上。借入が少ない企業は、金利上昇や一時的な業績悪化があっても配当を守りやすいです。財務的な余裕が、配当の継続性と増配余地に直結していると思っています。
ただし、私の場合は出来れば無借金経営に近い銘柄を好んでいますが、有利子負債がまったくないということは、会社が成長にあまりリスクを取っていない可能性もあります。財務健全性だけでなく、利益成長の見通しも合わせて確認するようにしています。
4. 増配を続けてきた実績があった
過去5〜10年の配当推移を確認すると、増配を続けてきた銘柄はその後も増配しやすい傾向があります。逆に、過去に減配した銘柄は「また減配するリスク」を常に意識する必要があります。「増配してきた会社の文化」は、財務指標だけでは見えない重要な要素です。
5. 内需中心・ストック型の収益構造だった
景気に左右されにくいビジネス(インフラ・通信・生活必需品・ストック収益型など)は、業績が安定しやすく、増配を続けやすい印象があります。ただし、増配銘柄は内需・ストック型に限りません。輸出系や資源系のセクターでも、業績好調が続けば増配するケースは当然あります。
重要なのはセクターの偏りをなくすバランスです。内需系に集中しすぎると景気の波をかわしやすい一方で、円安や資源価格の上昇局面で恩恵を受けにくくなります。私は輸出・資源系も一定比率で保有し、セクター全体のバランスを意識しています。
9年で痛い目に遭った「配当の罠」4パターン

9年間で、「高利回りだ」と思って買ったものの、増配どころか減配・据え置きが続いた経験もあります。私が「罠だった」と感じた共通パターンです(あくまで個人の主観による分類です)。
パターン1:配当性向が80%を超えていた
「利回り6%以上」に惹かれて買ったものの、配当性向が90%近かった銘柄があります。配当性向が100%を超えるということは、純利益をすべて配当に回すだけでは足りず、会社の資本そのものを食いつぶして配当を出している状態——これがタコ足配当です。業績が少し落ちるだけで大幅減配に追い込まれます。
高利回りで配当性向が高い組み合わせは、むしろ「すでに限界まで出している」サインだと今は思っています。
パターン2:特別配当に頼っていた
「今期は特別配当あり」のタイミングで購入し、翌期から普通配当だけに戻ったパターンです。特別配当込みの利回りを「通常配当」と思い込むと、翌年に「配当が大幅に下がった」と感じます。
購入時に普通配当と特別配当を必ず分けて確認するようにしています。
パターン3:業績連動型の配当方針だった
「配当は連結純利益の〇%」と明記している企業は、業績が下がれば配当も下がります。景気敏感セクターでよく見られるタイプです。
増配期待で購入すると、次の不況期に減配ショックを受けることがあります。業績連動型の銘柄については、業績の安定性をより慎重に確認するようにしています。
パターン4:有利子負債が重く、財務に余裕がなかった
借入金が多い企業は、金利が上がると利払いが増え、配当に回せる利益が減ります。2022年以降の金利上昇局面で、財務が重い不動産・建設系のセクターでも配当の伸び悩みを実感しました。借入依存度は必ず確認するようにしています。
増配しやすい銘柄を見分けるために私が購入前にやっていること
増配を「狙う」というより、「増配しにくい銘柄を最初から除外する」ことを意識しています。
購入前に確認していること(あくまで私個人の判断軸であり、特定銘柄の推奨ではありません):
- 過去5年以上の配当推移(減配歴があるか)
- 配当性向が50%以内か(私はこれを一つの目安にしています)
- ROEが8%前後を複数年維持しているか
- 自己資本比率が50%以上か
- 普通配当と特別配当を分けて確認しているか
これらは1点でも問題があると即除外するルールではなく、総合的に判断するための軸です。気になる点が複数重なるときは購入を見送っています。
それでも、増配を確信することはできない
ここまで書いておきながら、今回の決算で増配しなかった銘柄も当然あります。「この銘柄は増配するだろう」と思っていても、業績見通しや経営方針の変化で据え置きになることは普通にあります。
私のポートフォリオでも、含み損銘柄が銘柄数ベースで約12%存在します。増配どころか据え置き・減配が続いている銘柄もゼロではありません。また、私の除外基準を満たさなかった銘柄が、その後も増配を続けているケースもあります——基準を設けること自体が機会損失になることも忘れてはいけません。
だからこそ、1銘柄あたりの最大比率を4.4%に抑え、96銘柄に分散しています。1銘柄が無配転落しても、年間配当全体への影響を数%以内に収めるためです。年間配当120万円は、96銘柄の積み重ねによる「合計値」です。どこか1銘柄が急増配したわけではなく、毎年少しずつ増配した銘柄が積み重なった結果です。
よくある質問
Q. 増配しそうな銘柄はどうやって探しますか?
私は増配を「探す」というより、購入前の条件(配当性向・ROE・自己資本比率・増配実績)を満たしている銘柄を長期保有することで、結果として増配の恩恵を受けるケースが多かったです。証券会社のスクリーニングツールで数値条件を入力して絞り込み、そこから過去の配当履歴を確認するのが私のやり方です。
Q. 増配銘柄だけ集めるべきですか?
そういう考え方もありますが、私は「増配しにくい銘柄を除外する」ことを意識しています。増配実績がある銘柄だけを集めると、株価上昇で利回りがすでに低い状態になっているケースもあります。入口の利回り水準(私の場合は取得簿価ベースの目安)と財務条件を組み合わせて判断しています。
Q. 米国ETF(SPYD・HDVなど)は増配しますか?
ETFは組み入れ銘柄全体の配当を集めたものです。構成銘柄が変わったり、業績全体が落ちたりすると配当が下がることもあります。私の経験では、年によって増減があります。米国ETFは配当額の安定よりも「広い分散」を目的として保有しており、増配への期待は国内個別株よりも低めに設定しています。
まとめ

- 今回の決算で保有株の約2割が増配し、年間配当が税引後で約120万円に到達(前年比+10万円・筆者個人の実績)
- 増配しやすい銘柄には「配当性向の余裕・ROEの安定・財務体力・増配実績・ストック型収益」の傾向があった
- 高配当に見えて増配が続かないパターンは「高配当性向・特別配当依存・業績連動型・有利子負債過多」の4つ
- 除外基準を設けることで機会損失も生じる。だから分散(96銘柄・最大4.4%)で対処している
- 私がやっていることは、増配を狙うより「増配しにくい銘柄を最初から除外すること」
年間配当120万円は、特別な銘柄を引き当てた結果ではありません。「増配しにくい銘柄を最初から外す」を9年続けた積み重ねです。次の決算で「なぜこの銘柄は増配したのか」を1銘柄でも振り返ることから始めてみてください。その繰り返しが、自分なりの選定基準になっていきます。
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
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