本記事は私個人の投資経験・試算の記録です。特定の金融商品への投資を勧誘するものではなく、老後資金の計算結果は個人の収入・支出・運用状況により大きく異なります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

40代の老後資金に月いくら必要か。私の試算では、年金約15.5万円+配当月約10万円で「月25万円強」の収入土台をつくることを目標にしました。今の手取り月収レベルを老後も維持するための、私なりの計算式です。

40歳から投資を始め、49歳の今、運用資産は約6,000万円になりました。この記事では、その過程で実際に行った「老後の月収計算」の考え方と数字を、できる限りそのまま公開します。

この記事でわかること

  • 「月いくら必要か」を自分の手取りから逆算する考え方
  • 年金でまかなえる分と、自分で作る必要のある不足分の計算方法
  • 私が実際に設計した「月25万円強」の3本柱(年金・配当・積立)
  • 残り年数別の月積立シミュレーション(早見表)

9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話


「老後に月いくら必要か」の答えは、今の手取りの中にある

老後の生活費を考えているイラスト

「老後の生活費は月○○万円が平均」という記事をよく見かけます。総務省の家計調査によれば、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は月約15〜16万円という数字が出ています(総務省「家計調査年報」2023年)。

でも私はこの数字を基準にしませんでした。

理由はシンプルです。退職後も、今と同じような生活の質を維持したいからです。

退職後は家賃・食費・医療費・社会保険・税金など、あらゆる支出が変わります。家賃は借り上げ社宅から出ればかかるかもしれないし、医療費は年齢とともに増えるかもしれない。逆に通勤費や交際費は減るかもしれない。こうした未来の変化は予測しきれません。

そこで私が選んだ基準は、「今の手取り月収と同レベルの収入を、老後も確保できるかどうか」

将来の支出がどう変わるにせよ、今と同じだけの収入があれば対応できる——そういう考え方です。「少なくとも現状維持」という土台を確認してから、あとは実際の老後生活に合わせて調整していけばいい。

📌 老後資金の考え方(私の場合)

必要な老後月収 = 今の手取り月収(最大値として設定)

不足分 = 必要な老後月収 ー 年金受給額

この不足分を、配当・積立・iDeCoで埋める


年金でまかなえる分はいくらか——私の試算では月約15.5万円

年金額を計算しているイラスト

まず「年金でいくらもらえるか」を確認します。

私の場合、ねんきんネットで試算した結果は月約15.5万円(国民年金+厚生年金の合計・現時点の試算値)。60歳で退職し、65歳から受給開始を想定しています。

※ 年金受給額は加入期間・収入・制度改正等により変わります。ご自身の試算は「ねんきんネット」(https://www.nenkin.go.jp/)でご確認ください。

▼図解:年金でまかなえる分のイメージ

項目 月額 備考
国民年金+厚生年金(試算) 約15.5万円 現時点の試算・制度変更リスクあり
受給開始想定 65歳 60歳退職→5年は年金なしの空白期間あり

ここで注意したいのが「60歳退職→65歳年金受給開始」の5年間の空白です。この期間は年金が入ってきません。60〜65歳の5年間をどう乗り越えるかも、老後設計の重要なポイントになります。

💡 60〜65歳の「空白期間」をどう乗り越えるか

私の場合、この5年間は高配当株の配当収入+インデックス部分の取り崩しで対応する予定です。年金が始まれば取り崩しをストップし、配当収入と年金の2本柱に切り替える計画です。


退職後に変わるお金——減るもの・増えるもの

退職後の支出変化を整理するイラスト

「現状の手取り月収を基準にする」と言っても、退職後は支出の中身がかなり変わります。減るものと増えるものを把握しておくことで、「実際には現役時代より少ない収入でも同等の生活ができる可能性がある」という視点も持てます。

以下は、私自身がイメージしている退職後の主な支出変化です。参考値として参照した統計・制度情報とあわせて示します。

退職後に減る(またはなくなる)費用

費目 現役時代の目安 退職後 備考
通勤費 月1〜3万円 ほぼゼロ 会社負担分も含めると実質削減
被服費(スーツ・ビジネス用品) 月5,000〜1万円 大幅減 私服中心になれば激減
職場関係の交際費・外食費 月1〜3万円 大幅減 ランチ・飲み会等が減少
所得税・住民税 月数万円(収入による) 収入減に伴い大幅減 年金・配当収入ベースで再計算
社会保険料(厚生年金・健康保険) 月3〜5万円(会社折半分含む) 変化(下記参照) 退職後は国保または任意継続に移行

⚠️ 健康保険の注意点

退職直後は前年の収入をベースに国民健康保険料が算出されるため、収入があった翌年は保険料が高くなります。退職後1〜2年は「任意継続被保険者制度」(退職後最長2年間、在職中と同じ健保に加入継続)の活用も選択肢です(出典:全国健康保険協会「任意継続被保険者制度」)。

退職後に増える(または新たに発生する)費用

費目 現役時代の目安 退職後 備考
医療費 月数千円 増加(月1〜2万円以上) 加齢に伴い受診頻度が増加
光熱費 月1〜2万円 やや増加 自宅滞在時間の増加による
介護保険料 40歳〜天引き 継続(支払い方法が変わる) 65歳以上は年金天引きまたは直接納付
趣味・旅行・余暇費 個人差 増加の可能性 自由時間の増加により支出が増えるケース多い

📌 総務省「家計調査」より参考値

65歳以上単身無職世帯の月平均消費支出:約14.5万円(2023年平均) うち主な内訳:食費3.5万円/住居1.3万円/光熱費1.3万円/保健医療1.6万円/交通・通信1.4万円/教養娯楽1.4万円 等 (出典:総務省「家計調査年報」2023年・無職単身世帯)

この統計の月14.5万円という数字はあくまで平均です。家賃の有無・持病の有無・趣味の多寡で大きく変わります。「平均より自分はどう違うか」を考えるための参考値として使ってください。

差し引きでどう変わるか(私のイメージ)

私の場合、退職後に減る費用(通勤・スーツ・交際費・税社保)の合計は月5〜10万円程度と見込んでいます。増える費用(医療・光熱・余暇)は月1〜3万円程度の見込みです。

差し引きで月3〜7万円程度の支出が減る可能性がある——という粗い試算です。ただし、この数字は個人差が大きく、あくまで「現役時代と同じ収入を確保できれば余裕ができる可能性もある」という参考値として捉えています。

未来のことは正直わかりません。だからこそ「現役時代の手取りレベルを維持する」を目標に設定しておいて、実際の退職後に合わせて調整していく——それが私のスタンスです。


不足分はいくらか——自分で計算してみる

「今の手取り月収 ー 年金月額 = 月の不足額」。

これが、自分で作らなければいけないお金の量です。

たとえば現在の手取り月収が25万円で、年金が15.5万円なら、月9.5万円の不足が生まれます。老後25年間(65〜90歳)この不足が続くとすると、単純計算では約2,850万円が必要になります。

📌 不足額の早見表(参考・税引前・運用なし単純計算)

※ あくまで「運用なし・インフレなし」の参考値。実際は配当収入・運用益・インフレ・制度改正等で変動します。

▼表:月の不足額別・老後の必要総額(単純計算)

現在の手取り 年金月額(参考) 月の不足額 老後20年分 老後25年分 老後30年分
月20万円 15万円 5万円 1,200万円 1,500万円 1,800万円
月25万円 15万円 10万円 2,400万円 3,000万円 3,600万円
月30万円 15万円 15万円 3,600万円 4,500万円 5,400万円
月35万円 15万円 20万円 4,800万円 6,000万円 7,200万円

※ 年金月額は参考値(個人差あり)。ご自身の年金見込み額は「ねんきんネット」で確認してください。

この表の数字を見たとき、「老後2000万円問題」という言葉が一人歩きしている理由が少し見えてきます。収入・年金・老後年数によって、必要な金額はまったく違います。「2000万円あれば安心」でも「2000万円で足りない」でもなく、自分の不足額を自分で計算することが出発点です。


不足分を埋める3本柱——配当10万+年金15.5万で月25万円強へ

3本柱の設計を説明するイラスト

月の不足額がわかったら、次はそれをどうやって埋めるかです。

私が設計しているのは、以下の3本柱です。

柱① 高配当株の配当収入

現在の年間配当は約120万円(税引後)、月換算で約10万円です。これが最も安定した柱になっています。

高配当株は売らずに保有し続けることで、毎月・毎年、現金が振り込まれ続ける仕組みになっています。老後も同じ銘柄を持ち続け、配当で月10万円を確保する——これが私の基本設計です。

詳しい仕組みは年間配当110万円の内訳|サラリーマン投資家が9年で取得簿価利回り3.7%→6.0%にした記録に書きました。

柱② インデックス投資の取り崩し

新NISAとiDeCoで積み立てているインデックス(オルカン・S&P500)は、老後に取り崩す用として位置づけています。4%ルールを参考に、資産を減らしすぎないペースで取り崩す予定です。

ただしこれは補助的な役割です。配当だけで不足分をまかなえるなら、取り崩しはできるだけ先送りにしたいと思っています。

柱③ 年金(65歳〜)

月約15.5万円の年金は、65歳から受給開始予定です。これが入ってくれば、配当との組み合わせで「月25万円強」の土台ができあがります。

📌 私の場合の3本柱(60歳退職想定)

・年金(65歳〜):月約15.5万円 ・配当収入:月約10万円 ・合計土台:月約25万円強

この「月25万円強」が、私の現在の手取り水準と同レベルかどうかを基準に、今の積立設計を続けています。


40代から月いくら積み立てればいいか——残り年数別シミュレーション

積立シミュレーションを考えるイラスト

「月の不足額がわかった。では今から月いくら積み立てればいいか」——ここが40代にとって最も実践的な問いです。

以下は月5万円・10万円・15万円の不足額別に、60歳退職・65歳年金受給開始を前提とした「必要な積立総額」と「月積立額の目安」の早見表です。

運用益はゼロ(単純積立)で計算しています。実際には運用益が出ることで必要な月積立額は下がりますが、将来の運用成果は保証されないため、ここでは保守的な数字を示します。

▼表:残り年数別・月積立の目安(単純計算・運用益ゼロ)

現在の年齢 退職まで 月5万円不足の場合 月10万円不足の場合 月15万円不足の場合
40歳 20年(240ヶ月) 月6.3万円 月12.5万円 月18.8万円
43歳 17年(204ヶ月) 月7.4万円 月14.7万円 月22.1万円
45歳 15年(180ヶ月) 月8.3万円 月16.7万円 月25.0万円
48歳 12年(144ヶ月) 月10.4万円 月20.8万円 月31.3万円
50歳 10年(120ヶ月) 月12.5万円 月25.0万円 月37.5万円

※ 前提:月の不足額×12ヶ月×25年(老後65〜90歳)の総額を、退職までの月数で割った参考値。60〜65歳の空白5年間分の生活費は含んでいません。運用益・インフレ・税金等は考慮していません。投資成果を保証するものではありません。

この表を見ると、早く始めるほど月々の負担が小さくなることがわかります。40歳と50歳では、同じ不足額でも月積立額が約2倍違います。これが「40代から始める意味」の、数字による答えです。


私が実際にやっていること

積立を継続しているイラスト

計算の話をしてきましたが、最後に私が実際にやっていることを書きます。

40歳のとき、月3万円の積立からスタートしました。当時は老後の計算どころか、NISAの仕組みもよくわかっていませんでした。「とりあえず始める」が最初の一歩でした。

その後、収入が上がるたびに積立額を少しずつ増やしてきました。

年齢 月積立額(概算)
40〜41歳 月3万円
42〜43歳 月5万円
44〜45歳 月7万円
46〜47歳 月8〜10万円
48〜49歳 月10万円以上

計算通りに動いたわけでも、計画通りに積み上がったわけでもありません。コロナ暴落で−350万円になったときは買い増しました。新NISAが始まったときは積立を加速させました。その積み重ねが、今の6,000万円に繋がっています。

「月いくら積み立てればいいか」という問いへの答えは、計算で出せます。でも一番大切なのは、その金額を続けられるかどうかです。完璧な計算より、無理のない金額で長く続けることのほうが、最終的に効いてくる——9年間でそれを実感しています。

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よくある質問

Q. 老後2,000万円問題って本当に2,000万円必要なの?

A. 「2,000万円」は金融審議会の報告書が示したひとつの試算値であり、夫婦2人・公的年金モデルケースという前提があります。独身・共働き・早期退職など個々の事情で必要額は大きく変わります。私の試算では、月10万円の不足を老後25年分埋めると3,000万円が必要になります。「2,000万円」という数字を目安にするより、自分の不足額を計算する方が実態に近い数字が出ます。

Q. 年金だけで生活できませんか?

A. 私の試算では月約15.5万円ですが、総務省「家計調査」(2023年)によれば65歳以上単身無職世帯の平均支出は月約14.5万円。家賃のない方・生活を絞れる方なら年金でほぼ収まる可能性もあります。ただし、家賃がある場合・持病がある場合・現役時代と同等の生活水準を維持したい場合は不足する可能性があります。私は「現役時代の手取り水準の維持」を目標にしているため、差額を自分で作る設計にしています。

Q. 40代から始めても老後資金は間に合いますか?

A. 私自身が40歳スタートで49歳時点に運用資産約6,000万円に到達しています。残り年数が少ないほど月積立額は増えますが(上の表参照)、高配当株の配当再投資と長期運用の複利効果により、10〜20年でも積み上がりは出ます。「40代では遅い」と立ち止まるより、今すぐ月いくら積み立てられるかを試算することの方が、私の経験では現実的な一手だと思っています。


まとめ——まず「自分の月の不足額」を計算することが老後設計の出発点

  • 老後に必要な月収の基準は「今の手取り月収レベルを維持できるか」
  • 年金でまかなえる分を差し引いた「月の不足額」を把握する(私の場合は月約9.5万円)
  • 不足分は配当・積立・iDeCoの3本柱で埋める設計にする
  • 早く始めるほど月々の積立負担は小さくなる(40歳と50歳で約2倍の差)
  • 40〜49歳の9年間で、月3万円の積立から月10万円超へ段階的にステップアップできた

「老後2000万円が必要」という言葉は一人歩きしていますが、必要な金額は人によって違います。まず自分の不足額を計算することが、老後設計の本当の出発点です。

40歳から始めた私が49歳で6,000万円に到達できたのは、計算通りではなく「続けた」からです。計算で出た月積立額を、無理なく続けられる範囲に設定する——そこから始めることをすすめます。

9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話


本記事に記載の数字(年金試算・配当額・資産推移・積立シミュレーション等)は筆者個人の試算・運用記録に基づく参考値です。将来の運用成果・年金受給額・物価等を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で、必要に応じて登録のある専門家にご相談ください。(出典:総務省「家計調査」・ねんきんネット)