ご利用にあたって 本記事は、筆者個人の投資経験と家計の記録です。筆者は金融商品取引業者・投資助言業者ではなく、特定の金融商品・銘柄の購入、売却、保有を推奨するものではありません。生活防衛資金の設計は個人の収入・家族構成・雇用の安定度によって大きく変わります。本記事の金額をそのまま当てはめることは想定していません。

生活防衛資金は、暴落のときなら私は使います。ただし全部ではありません。一般には手をつけない設計のほうが安全とされますし、私もその原則自体は正しいと思っています。

私の場合は無制限ではなく、ラインを2段階に分けています。平時に割らないのは500万円。暴落時に残すのは100万円です。

平時のラインは9年で100万円から500万円へ上がりました。一方で、最後に残す100万円は一度も変えていません。コロナのときは実際に、手元の現金を100万円まで減らして株を買いました。

この記事では、その100万円という数字がどう決まっていたのか、なぜ今は500万円になっているのかを、実額で書きます。

この記事でわかること

  • 平時のラインと、暴落時に残すラインの分け方
  • コロナのとき実際にいくら投じて、いくら残したか
  • 平時のラインを100万円から500万円に上げた理由
  • 使ったあと、元に戻るまでどのくらいかかったか

生活防衛資金を暴落で使うか|守るラインは500万円と100万円の2つです

先に構造を書きます。私は現金を守るラインを2段階で持っています。

  • 平時のライン:500万円。ここは割りません
  • 暴落時の最終ライン:100万円。暴落のときは、ここまでなら使う可能性があります

この2つ目が、この記事で一番書きたいところです。平時のラインは40歳の100万円から49歳の500万円へ5倍になりましたが、最終ラインの100万円は9年間ずっと変わっていません。

もうひとつ書いておくと、口座は分けています。「投資に回す口座」と「守る口座」を物理的に別にして、誤って使わないようにしています。分けていないのは口座ではなく、その守る口座の中の「絶対に割らない額」と「暴落なら使える額」の境目です。そこは金額の条件だけで管理しています。

生活防衛資金をいくらに決めたかの計算内訳

コロナ暴落での買い増し資金|300万円のうち200万円を投じました

2020年3月、私は43歳でした。

当時の現金500万円のうち、守る口座に置いていたのは100万円でした。そこから3年、このとき守る口座には約300万円あります。2017年に100万円で始めた口座に、給与と賞与の一部を毎年積み増して、3年で3倍になっていたものです。

株価は毎日下がり、運用資産は最悪期で半値近くまで落ちていました。その状況で、3月下旬から数ヶ月かけて200万円を追加投資しました。当時の一般NISA(いまの新NISAとは別制度)と特定口座を使い、株価が大きく下がっていた日本株を買っています。

残ったのは100万円です。

この100万円は、適当に残した端数ではありません。2017年に決めた最終ラインが、ちょうど100万円だったのです。

内訳はこうでした。

  • 生活費3ヶ月分:60万円
  • 特別費(急な出費・医療費など):40万円
  • 合計:100万円

つまりプールは3年で育てたが、割らない額は最初のまま据え置いていたということになります。育った分の200万円が、そのまま暴落時に投じられる弾になっていました。

※ 現預金の3分の2を投じた判断です。当時は住宅ローンがなく、雇用も安定していたという前提があってのもので、一般に推奨される行動ではありません。収入が不安定な方、近く大きな支出が決まっている方には当てはまらないと考えています。

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決めてあったのは、金額だけではありませんでした

注文を出したのは平日の夜だったと思います。もう6年前なので、細かいところは覚えていません。

ただ、ひとつはっきり覚えているのは銘柄選びでは迷わなかったことです。理由は単純で、暴落が来たら買う銘柄を、あらかじめ決めてあったからです。

普段から、買う前に配当と財務を調べています。そのとき「いまは高いけれど、下がったら買いたい」と思った会社が何社かありました。暴落は、その会社が予定より安く並んだ状態です。だから「何を買うか」を考える必要がありませんでした。

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もうひとつ覚えているのは、一度にまとめて買わなかったことです。200万円を一括で入れたのではなく、様子を見ながら何回かに分けて注文しました。底がどこかは分からないので、当てにいかなかったという言い方が近いと思います。

つまり暴落の日にやったのは、金額の上限を確認して、決めてあった銘柄を、何回かに分けて買う——手順としては、それだけです。

ただ、簡単だったという意味ではありません。あのとき市場からは資金が逃げていて、周りは売る側でした。その中で買い向かうこと、そして持っている株を売らずにいることは、どちらもその場での判断です。

先に決めておいたことで省けたのは「何を買うか」の迷いだけでした。「本当にやるのか」のほうは、最後まで自分で決めるしかありませんでした。

100万円まで減らすのは、単純に怖いです

ここは書いておかないとフェアではありません。

手元の現金が100万円まで減っていくのは、怖いです。

計算上は生活費3ヶ月分と特別費が残っています。頭ではそう分かっています。それでも残高が減っていく画面を見ていると、このあと何かあったら生活できなくなるのではないかという気持ちが出てきます。株価がどこまで下がるか分からない時期なら、なおさらです。

ラインを決めてあっても、この怖さは消えませんでした。決めておくと迷いは減りますが、怖くなくなるわけではありません。

投資の記事では、事前に決めておけば感情に振り回されない、という書き方をよく見ます。半分は本当だと思います。ただ、実際にやるのは人間です。ルールがあっても、口座の残高が減れば怖い。その怖さを抱えたまま注文ボタンを押す、というのが実際のところでした。

買う前に「ここまで」が決まっていたから、そこで止まれたのだと思っています。

いまの防衛ラインは500万円です

49歳の現在、そのラインは500万円になっています。100万円から5倍です。

算出はこうしています。

  • 月の生活費:20〜25万円
  • 特別費を含めた試算:月30万円
  • 確保したい期間:1.5年分(18ヶ月)
  • 30万円 × 18ヶ月 = 540万円 → 約500万円

一般には「生活防衛資金は3〜6ヶ月分」と言われます。私は1.5年分にしました。厚いほうです。

なぜ100万円から500万円に上げたのか

理由は年齢です。

40歳のときと49歳のいまでは、同じ「働けなくなる」でも意味が違います。病気になったとき、親の介護が始まったとき、会社を辞めざるを得なくなったとき。40代後半からの再就職には、時間がかかる可能性があると考えました。

3ヶ月分の現金は、3ヶ月で次が決まる前提の金額です。その前提が、自分にはもう当てはまらないかもしれない。そう思ったので、期間のほうを延ばしました。

もうひとつは、50歳を目前にした環境変化への備えです。会社の制度も、自分の体も、この先どう動くか分かりません。「安心できる現金の厚み」として1.5年分は、私の状況では納得できる水準でした。

「3ヶ月分あれば大丈夫」と言い切れなくなったのが、40代後半でした。

暴落で使った生活防衛資金が戻るまで、数年かかりました

暴落で減らした現金は、放っておいても戻りません。ここは実際に時間がかかりました。

私がやったのは1つだけです。給与と賞与の一部を、毎年その口座に積み増す。それだけです。

数字で見ると、こう動いています。

時期 現金総額(概算) 投資(概算)
40歳(2017年・開始時) 約500万円 ほぼ0円
43〜44歳頃 約300万円 約600万円
46〜47歳頃 約400万円 約2,300万円
49歳(2026年5月時点) 約800〜1,000万円 約5,000万円

※各期の内訳は概算で、その時期の代表的な水準です。「投資」の欄は評価額(評価損益を含んだ金額)で、投入した金額そのものではありません。2017年の500万円のうち守る口座に入れたのは100万円で、残りは投資に回しました。43歳の300万円はコロナで買い増す前の水準で、買い増した直後は100万円まで落ちています。年末時点の実際の推移は資産推移ログに公開しています。

投資額のほうが速く増えているのが分かると思います。現金が元の水準に戻るまでには数年かかりました。暴落で投じた分がすぐ埋まるわけではない、というのは書いておきたいところです。

だからこそ、投じる前に「ここまで」を決めておく必要があったと感じています。戻すのに何年かかるかを知らないまま全部使うと、次の暴落のときに何もできません。

500万円を超える分は、投資にも消費にも使います

現金は全部で800〜1,000万円あります。500万円がラインなので、上に300〜500万円が乗っている状態です。

この超過分は、はっきり用途を決めていません。投資のタイミングを待つ資金でもあり、旅行や買い替えなどの消費に使う資金でもあります。

つまり「守る500万円」と「自由な300〜500万円」の2層になっています。いまの整理では、暴落が来たらまず自由なほうから使い、それでも足りないと判断したときに500万円のラインに手をつけ、最後の100万円は残す、という順番です。

ただしこれは後から整理した形です。43歳のときにこの3段階を意識していたわけではなく、結果としてそういう動き方になっていました。いまの500万円のラインには、まだ手をつけたことがありません。近年の下落局面でも、そこまで買い進めてはいないためです。

49歳のいま、同じことをするかは分かりません

正直に書くと、43歳のときと同じ判断を、いまできるかは分かりません。

当時は現金300万円のうち200万円を投じました。比率でいえば3分の2です。いま同じ比率で動かすと、投じる金額の桁が変わります。そして働ける残り時間は、あのころより短くなっています。

「暴落は買い場」と言われます。私の9年では結果的にそうなりましたが、次もそうなる保証はないと思っています。ただ、買い場だと思えたとしても、いくら投じられるかは年齢と生活で決まるというのが、いまの実感です。

だからこそ、金額ではなくラインを決めておくことに意味があると考えています。9年前も、いまも、最後に残す額は100万円のままです。変わったのは、平時に割らないほうのラインでした。

まとめ

  • 守るラインは2段階です。平時に割らないのは500万円、暴落時に残すのは100万円。口座自体は投資用と守る用で物理的に分けています
  • コロナ(2020年・43歳)では現預金約300万円のうち200万円を追加投資し、当時の防衛ラインである100万円を残しました
  • 平時のラインは49歳のいま500万円(月30万円×1.5年分)。一方、最後に残す100万円は2017年から変えていません
  • 厚くした理由は年齢です。40代後半で働けなくなったとき、再就職に時間がかかる可能性を見込みました
  • 現金は800〜1,000万円あり、500万円を超える分は投資にも消費にも使う「自由な層」として持っています
  • ラインを決めてあっても、残高が100万円まで減るのは怖いです。決めておくと迷いは減りますが、怖くなくなるわけではありませんでした

生活防衛資金にいくら必要かは、収入の安定度・家族構成・年齢で変わります。私の500万円をそのまま真似しても意味がありません。ただ、暴落のさなかに決めようとすると、たいてい決められません。先に決めておくのは、そのための保険でした。

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