本記事は筆者個人の投資経験の記録です。特定の銘柄・売買を推奨するものではありません。株主優待の内容・有無・継続保有の判定条件は各社の判断で変更されます。投資判断はご自身の責任で行ってください。

長期優待は、買う前には調べる。買った後は忘れる。——9年間、この付き合い方で通してきました。

長期優待は、一定期間以上持ち続けている株主の優待内容を手厚くする制度です。「1年以上の保有でカタログのランクが上がる」「3年以上で金額が増える」といった形になっています。

世の中の長期優待の記事は、条件を満たすために保有を管理する話が中心です。私はそれをやっていません。買うかどうかを決める段階で条件を確認して、あとは放っておける銘柄だけを買う——9年間ほぼ売らずに持ってきた結果としての付き合い方を書きます。

長期保有で優待がランクアップする仕組み

この記事でわかること

  • 保有期間で優待に差をつける企業が実際に何社あるか(公表データ)
  • 私が銘柄を買う前に何を調べているか、その順序
  • 買った後に何もしない理由
  • 長期優待を主目的に買わないと決めている理由

保有期間で優待に差をつける企業は600社。実施企業の4割(2024年9月末時点)

大和インベスター・リレーションズの集計によると、株主優待を実施している1,489社のうち、保有期間によって優待内容に違いを設けている企業は600社。全体の40.3%にあたります。前年調査の38.5%から増えていました。

保有株数によって優待内容に差をつける企業はさらに多く、1,044社(70.1%)でした。

優待の条件 企業数 割合 前年
保有期間による違いがある 600社 40.3% 38.5%
保有株数による違いがある 1,044社 70.1% 69.6%

📊 出典 大和インベスター・リレーションズ「株主優待の最新トレンド」(PDF2025年1月公表/2024年9月末時点)の数値です。

なお同社の2026年1月版(2025年9月末時点)では、優待の実施企業数が1,624社・上場企業の41.2%へ増えたと報じられています(楽天証券トウシル日本経済新聞)。保有期間別の内訳は本記事執筆時点で確認できていないため、上記の表は2024年9月末の集計を用いています。

この数字には続きがあります。同じ資料では、優待を廃止した企業が86社と過去12年で最多にもなっていました。やめる会社が増えている一方で、長く持つ株主を厚遇する会社も増えている。優待という制度は今、両方向に動いています。

廃止された側で私が何をしたかは優待が廃止されたときの3つの型に書きました。この記事はその裏側の話です。

買う前に調べて、買った後は忘れる

私は銘柄を買うとき、優待の内容と長期優待の条件も一緒に調べています。「何年以上でどう変わるのか」は、その時点で把握しておく情報です。

一方で、買った後に条件を管理することはしていません。カレンダーに権利日を書き込むことも、継続保有の年数を記録することもしていない。多くは持ち続けているので、放っておいても条件は満たされていきます。

実際に受けた恩恵は、カタログギフトのグレードが上がったことと、商品券の金額が増えたことです。

どちらも、条件を満たそうとして保有中に何かをした結果ではありません。

条件の相場感でいうと、1年以上を条件にしている会社が多いという印象です。中には3年以上を求める会社もあります。年単位の話なので、数か月で結果が出るものではありません。

💡 ポイント 「買う前に調べる」の目的は、条件を狙うためではありません。その銘柄を長く持てるかどうかを考えるとき、判断材料が1つ増えるという意味です。3年以上が条件なら、そもそも3年持てる会社なのかを考えることになります。

96銘柄のうち、優待があるのは22銘柄

私は現在96銘柄を保有していますが、うち5銘柄は米国ETFで、制度としてそもそも株主優待がありません。優待があり得るのは国内株・Jリートの91銘柄です。

そのうち優待がある銘柄は22です。優待があり得る国内株・Jリート91銘柄で見れば24.2%、米国ETFを含む全96銘柄で見れば22.9%にあたります。株主優待は金券に換算して年10万円相当を受け取っていますが、それはこの22銘柄から来ています。

優待がある銘柄は96のうち22銘柄

つまり優待を持っている銘柄のほうが少数派で、残りの69銘柄からは配当だけを受け取っています。

一方、優待を実施している企業は上場企業全体の41.2%(2025年9月末時点・報道による)です。私の24.2%は、上場企業の実施率を下回っています

優待ありきで選んでいないので、当然といえば当然の結果です。配当と財務で絞ったら、優待の有無はむしろ市場平均より薄くなりました。

※優待の年10万円相当は、額面やカタログ表示価格を私が合算した目安です。実際に得られる金額を保証するものではありません。

配当の実額と内訳は年間配当120万円(税引後)に届くまでの実数にまとめました。

途中で売ると振り出しに戻る?継続保有の条件

長期優待の判定は、多くの場合株主名簿への連続した記載で行われます。「同じ株主番号で、基準日をまたいで何回連続して記載されているか」という形が一般的です。

そのため、次のようなときは注意が要ると言われています。

  • 途中で全部売ってしまうと、記録が途切れて振り出しに戻る扱いになる会社が多い
  • 基準日をまたいで連続していないと、保有期間としてカウントされないことがある
  • 証券会社の変更や口座の移管で、株主番号の扱いが変わる場合がある

私自身は、リセットされた経験がありません。売った銘柄がないわけではありませんが、この落とし穴に当たった記憶がないというだけです。体験として語れることがないので、ここは制度の説明にとどめます。判定の条件は会社ごとに異なるため、保有している銘柄それぞれの開示でご確認ください。

買う前に調べても、長期優待を目的には買わない

買う前に調べているのに、なぜ長期優待を目的にしないのか。順序が決まっているからです。

  1. 配当と財務を先に見る。ここで残らない銘柄は候補から外れる
  2. 残った候補を総合利回りで見る。配当利回りに、優待利回り(優待の金額換算÷投資額)を足した数字です。私は総合利回りと呼んでいます
  3. その中で長期優待があれば、背中を押される

長期優待が最後の一押しになった銘柄はあります。ただしそれは、1と2をすでに満たしている銘柄の中での話です。配当と財務が基準に届いていない銘柄は、長期優待がどれだけ手厚くても買いません。

理由は単純で、優待は会社の判断で廃止されるからです。長期優待を主目的に買ってしまうと、廃止が発表された瞬間に保有する理由がなくなります。配当と財務で選んでいれば、優待がなくなっても「では配当と業績はどうか」という本題に戻るだけで済みます。

⚠️ 注意 総合利回りは、優待の金額を私が換算して足した目安です。優待の価値の感じ方は人によって違いますし、金券以外の優待は換算しにくいものもあります。配当と優待は課税の扱いも異なりますし、優待は会社の判断でなくなる部分でもあります。同じ性質の利回りを足しているわけではない、という前提で見ています。

選定の基準そのものは配当と財務から見る7つの選定基準に書きました。

長期優待は、売らない人にだけ効く制度

改めて考えると、長期優待は売らない人にしか効かない設計になっています。

短期で売買する人にとっては、そもそも条件を満たす前に手放してしまうので関係がありません。逆に、何年も持ち続ける前提の人は、何もしなくても条件を満たしていきます。

私の場合はたまたま後者でした。40歳から9年かけて積み上げてきた結果として長期優待の恩恵を受ける側にいた、というだけの話です。長期優待があるから長く持つことにした、という順番ではありません。

長期優待は売らない人にだけ効く

売らずに持ち続けてきた理由そのものは9年間ほぼ売らなかった理由に書きました。

まとめ|長期優待は入口で見て、あとは放っておく

  • 保有期間で優待に差をつける企業は600社・実施企業の40.3%(2024年9月末時点)で、前年調査より増えていた
  • 私のスタンスは「買う前には調べる、買った後は忘れる」。保有中に条件を管理していない
  • 選ぶ順序は①配当と財務 ②総合利回り ③長期優待。長期優待は最後の一押しで、これだけで買うことはない

私が最初にやった一歩は、優待の条件を「買うかどうかを決める材料」の位置に置き直したことでした。3年以上が条件なら、そもそも3年持てる会社なのかを考える。長期優待は、そういう問いを立てさせてくれる材料でした。

廃止を告げられた日にやったこと

株主優待で実際に何がもらえるのか

銘柄を絞る7つのふるい

暴落でも売らずに済んだ理由


本記事は個人の投資経験に基づく記録であり、特定の銘柄・売買時期・投資手法を推奨するものではありません。株主優待の内容・有無、継続保有の判定条件は各社により異なり、変更・廃止されることがあります。株式投資には元本割れ・減配・無配のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

最終更新:2026年8月16日(年間配当の表記を最新の実績(税引後120万円・株主優待は別枠)に更新)