本記事は個人の体験・見解をもとにした情報共有が目的です。投資判断はご自身の責任で行ってください。

「売る根拠」が見つからなかった9年間

認識の転換のイラスト

9年間、「暴落したから売る」という行動を一度もしていません。強い意志があったからではありません。「相場の下落を理由に売る根拠」が、最後まで見つからなかっただけです。

コロナ暴落でも、含み損が長く続いた期間も、感情は確かに揺れました。「やめたい」という気持ちにはなりませんでしたが、「これで本当にいいのか」と自問した夜は何度もありました。それでも「暴落したから売る」という行動には至りませんでした。

ただし、不祥事や減配、配当方針の変化など「その銘柄に投資し続ける理由がなくなった」と判断したときは、売ることもあります。これは「暴落で売る」とは別の話です。

その判断の分かれ道が生まれたのは、投資を始めた頃の一冊の本との出会いにあります。

この記事でわかること

  • 40歳当時の「株はゼロサムゲーム(投機)」という誤解
  • バフェットの哲学がどう認識を変えたか
  • コロナ暴落で含み損−350万円になっても売らなかった具体的な理由
  • 高配当株の配当が「続ける実感」を作り続けた仕組み

40歳の私は「株式投資=ゼロサムゲーム」だと思っていた

40歳になって初めて、自分の老後のお金に向き合いました。手元には500万円。「このままで大丈夫なのか」という不安から、投資の勉強を始めました。

ただ、当時の私には大きな誤解がありました。

「株式投資=ゼロサムゲーム(投機)」。誰かが得をすれば誰かが損をする。FXや競馬のように、勝者がいる分だけ敗者が生まれる——そういうイメージです。「株で儲けた」は誰かの損を取った、という感覚がありました。

この思い込みが、長年投資をためらわせていた最大の理由でした。


バフェットの哲学が、その認識を根本から変えた

バフェットの投資哲学を学ぶイラスト

本を読む中で、バフェットの言葉に出会いました。

「株を10年間所有する気がないのなら、10分でさえ所有するな」

(バフェットの言葉として広く知られる表現。原文の和訳には諸説あり)

最初、意味がわかりませんでした。「10年間持つ」という発想が、当時の「株=値動きで稼ぐもの」という認識と全く噛み合わなかったからです。

読み進めるうちに、自分の認識が根本から間違っていたことに気づきました。

私が買った日本企業は、9年間で売上を伸ばし、配当を増やしてきました。私が誰かから奪ったわけではない。企業が稼いだ利益の一部が、株主である私の口座に届いただけです。これが「投資はプラスサムゲームだ」という実感でした。

「投資家は企業の長期的な成長に賭ける」——この考え方が腹に落ちたとき、「10年間持つ気がなければ持つな」という言葉の意味が、初めてわかりました。

バフェットの言葉を9年間で答え合わせした記録


コロナ暴落で、その認識が試された

暴落でも持ち続けた投資姿勢のイラスト

2020年、コロナショックが来ました。

コロナ底値では含み損が−350万円を超えていました。画面を見るのが怖い日々でした。感情は揺れました。「これで本当にいいのか」と自問したことは何度もあります(コロナ暴落の数字の全記録はこちら)。

ただ、「売る」という選択肢は頭に浮かびませんでした。「売る根拠」が見つからなかったからです。

コロナによって株価は急落しました。でも、私が保有している日本企業の事業が一瞬で消えたわけではない。そう考えられたのは、「投資はプラスサムゲームだ」という認識が根底にあったからだと思います。

そして、もう一つのバフェットの言葉を思い出しました。

「他人が貪欲なときに恐れ、他人が恐れているときに貪欲であれ」

(バフェットの言葉として広く知られる表現。原文の和訳には諸説あり)

生活防衛資金を確保したまま、余裕資金の範囲で少しずつ買い増しを続けました。

※以上は個人の判断であり、すべての方に当てはまるものではありません。


高配当株の配当が、「続ける実感」を作り続けた

もう一つの理由が、高配当株を選んでいたことです。

株価が底をついていた2020年も、保有していた高配当株の配当は口座に届き続けました。一部の銘柄で減配はありましたが、ポートフォリオ全体の配当収入は大きく崩れませんでした。

2020年の年間配当は約48万円。株価の大暴落の中でも、月4万円相当が届き続けていた事実が、「売らなくていい」という判断を毎月補強してくれました。

画面に映る「含み損の数字」は感情を揺さぶります。でも「実際に口座に届く現金」は、長期保有を続ける理由を毎回確認させてくれました。

高配当株を選んだ理由のひとつは、まさにこの「株価が下がっても収益が続く」という構造にありました(高配当株を続ける理由はこちら)。


暴落でも売らなかった9年間の結果

長期保有の成果を示すイラスト

投資を始めて9年。40歳・元手500万円から積み上げてきた金融資産は、2026年現在で6,000万円になりました(個人の記録です。同様の結果を保証するものではありません)。

コロナ暴落を乗り越え、ウクライナ情勢・トランプ相場でも、「相場が下がったから」という理由で売ることはしませんでした。その度に数字は揺れましたが、「暴落を理由に売る根拠」は見つかりませんでした。

年間配当は120万円を超えています。9年間で少しずつ積み上がってきた結果です(配当の推移はこちら)。


やめなかったのではなく「やめる根拠がなかった」

9年間を振り返ると、「株式投資をやめたい」と思った瞬間は一度もありませんでした。

暴落はショックでした。含み損が長く続く期間は精神的に重かった。「これで本当にいいのか」と自問した夜もありました。でも「やめる」「売る」は、選択肢として頭に出てきませんでした。

投資はプラスサムゲームだという認識が根底にあったからこそ、暴落は「出口」ではなく「通過点」に見えました。

私が「売る」判断をするのは、相場が下がったときではありません。不祥事や減配、配当方針の変化など「この企業に投資し続ける理由がなくなった」と判断したときだけです。これはバフェットの哲学と同じで、「株価ではなく企業の本質を見る」という考え方から来ています。

9年前に最初に買った銘柄は、今もほとんど持ち続けています。その多くが、株価も上がり増配もしています。「10年間持つ気がないなら10分も持つな」——あの言葉の意味が、10年目の今、ようやく答え合わせできた気がしています。

もし「株式投資=投機・ゼロサムゲーム」という誤解を持ったまま始めていたら、コロナ暴落で売っていたかもしれません。そう考えると、最初に認識を正せたことが、9年間続けてこられた最大の理由かもしれません。

暴落を理由に売ることがない限り、私はこれからも相場の揺れに動じず持ち続けると思います。


まとめ

  • 40歳当時、株式投資を「ゼロサムゲーム(投機)」と誤解していた
  • バフェットの哲学が「投資はプラスサムゲーム」という認識に転換させた
  • コロナ暴落で含み損−350万円になっても「売る」が選択肢にならなかったのは、この認識があったから
  • 高配当株の配当収入が、株価が下がっても「続ける実感」を作り続けた
  • 売るとしたら「暴落したから」ではなく「銘柄の投資ストーリーが変わったから」という基準を持っている
  • 「やめなかった」ではなく「暴落を理由に売る根拠が見つからなかった」というのが正直なところ

9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話


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