本記事は制度の一般的な説明と筆者個人の経験の記録です。特定の銘柄・売買時期を推奨するものではありません。制度・ルールは変更される場合があるため、最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
配当をもらえるかどうかは、「権利確定日」に株主名簿へ載っているかで決まります。買った日でも、保有している期間の長さでもありません。そして名簿に載るには、権利付最終日までに買い付けを終えておく必要があります。実際に振り込まれるのはそのずっと後で、時期は銘柄ごとに違います(本記事は日本株の話です)。
スマホに配当入金の通知が届くのは、その何ヶ月も後です。私は明細を自分から見に行くタイプではなく、証券アプリのプッシュ通知で「ああ、入ったのか」と気づきます。買った日と、通知が鳴る日は、それくらい離れています。
40歳から高配当株を買い始めて9年。この「いつ買えばもらえて、いつ入るのか」の順番を、最初の頃はまったく分かっていませんでした。この記事では、権利付最終日から入金までのカレンダーを一本の線で整理します。

この記事でわかること
- 配当をもらうために「いつまでに買えばいいか」
- 権利落ち日に株価が下がる理由と、入金日の調べ方
- 9年やってきた私が、権利付最終日の直前をあえて外している理由
配当をもらえるかは「権利確定日」に決まる
配当を受け取る資格は、権利確定日(基準日)の時点で株主名簿に載っているかどうかで決まります。
株主名簿とは、その会社の株主が誰かを記録した名簿のことです。会社は「この日の名簿に載っている人へ配当を出します」という日をあらかじめ決めていて、それが基準日です。決算期末に合わせて設定されることが多く、3月決算の会社なら3月末、9月に中間の基準日を置く会社もあります。
大事なのは、持っていた期間の長さは関係ないという点です。何年持ち続けていても、権利確定日の時点で名簿になければ配当は出ません。逆にその日に載ってさえいれば、買ったばかりでも配当は受け取れます。
💡 ポイント 「長く持っている人ほど配当が増える」わけではありません(長期保有優遇の株主優待は別の話です)。配当は、基準日という一点のスナップショットで決まります。
「権利付最終日」=買うならこの日まで
では、いつまでに買えば名簿に載るのか。答えは権利付最終日です。
株を買っても、その日のうちに名簿へ載るわけではありません。買い付けの決済(受渡)が完了して、はじめて株主として記録されます。日本株の決済期間は、2019年7月16日の約定分からT+2——取引日から起算して3営業日目に受渡し——というルールで運用されています(出典:JPX 株式等の決済期間短縮化(T+2化))。
つまり権利確定日に受渡を終えているためには、権利確定日の2営業日前までに買う必要があります。この日が権利付最終日です。
たとえば権利確定日が3月31日で、その前後がすべて営業日だとすると——
- 3月29日=権利付最終日(この日までに買えば配当がもらえる)
- 3月30日=権利落ち日(この日から買っても次の配当はもらえない)
- 3月31日=権利確定日(この日の株主名簿で決まる)
という並びになります。
入金までを含めた全体の順番は、こうなります。
▼図解:配当を受け取るまでの4つの日
| 順番 | 日 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| ① | 権利付最終日 | この日までに買えば配当をもらえる(権利確定日が営業日ならその2営業日前) |
| ② | 権利落ち日 | ①の翌営業日。この日から買っても次の配当はもらえない |
| ③ | 権利確定日(基準日) | この日の株主名簿で受け取る人が決まる |
| ④ | 支払開始日 | 実際に振り込まれる日。③からかなり空き、銘柄ごとに違う |
⚠️ 注意 この「2営業日前」は決済期間のルールから導かれる日数です。現在、決済期間をさらに短縮するT+1化の検討が進んでおり、施行されれば日数は変わります。実際に買う前には、JPXの最新情報や取引先の証券会社の案内をご確認ください。
土日・祝日が挟まると日付がずれる
数えるのは「営業日」なので、連休が挟まると感覚がずれます。カレンダー上は3日前なのに、営業日で数えると足りていない——ということが起こります。
もう一つ、見落としやすい落とし穴があります。権利確定日(基準日)そのものが土日祝に当たる年です。決済は営業日にしか行われないので、この場合は基準日以前の直近の営業日までに受渡を終える必要があり、そこから2営業日さかのぼることになります。つまり基準日が休日の年は、単純に「基準日の2営業日前」と数えるより前倒しになります。3月31日が日曜、といった年は実際にあるので注意が必要です。
自分で数えるのが不安なら、確認できる場所があります。JPXが「配当落・権利落等情報」というページで、基準日が2週間以内に到来する銘柄の配当落日・権利落日の一覧を毎営業日13時をめどに公表しています。証券会社のアプリでも銘柄ごとに表示されることが多いので、両方を突き合わせれば確実です。

権利落ち日に株価が下がるのは「配当が抜けた」から
権利付最終日の翌営業日が権利落ち日です。この日から買っても、次の配当はもらえません。
そして権利落ち日は、株価が下がって始まることがよくあります。理由はシンプルで、配当を受け取る権利が株価から抜けたからです。前日までは「株式+次の配当をもらう権利」の値段だったものが、権利落ち日には「株式だけ」の値段になります。
もっとも、実際の値動きは配当以外の要因でも動くので、必ず配当分ぴったり下がるわけではありません。そのうえで言えるのは、この仕組みを知っていれば、権利落ち日の下落そのものは想定内のものとして受け止められる、ということです。
私自身は、権利落ち日の下落を見ても売買の判断を変えていません。配当をもらう前提で持っている株なので、抜けた分が値段に反映されるのは当たり前だと考えているからです。
権利確定から入金まで——実際に振り込まれるのはいつか
権利確定日を迎えても、その日に配当が振り込まれるわけではありません。権利確定日と入金日の間は、かなり空きます。ただし、自分の持ち株がいつ入るかは調べられます。
会社は決算を締め、株主総会などの手続きを経て配当を確定させ、そのうえで支払開始日を決めます。
なぜ時間がかかるのかは、手続きの順番を知ると納得できます。期末配当は株主総会の決議を経て確定するのが一般的です。そして会社法では、基準日の株主が権利を行使できる期間を基準日から3ヶ月以内と定めています(会社法124条2項)。だから3月末を基準日にした会社は、6月中に株主総会を開くことになります。3月末に権利が確定した配当が、6月下旬以降に振り込まれる——という流れは、この仕組みから来ています。
一方、中間配当は株主総会を待たずに取締役会の決議で実施できる会社が多く、期末配当ほど間が空かない傾向があります。
つまり目安としては基準日からおよそ2〜3ヶ月後ですが、支払開始日を決めるのは各社なので、正確な日付は銘柄ごとに違います。私の場合は、株主総会の招集通知が届いたときに支払開始日の欄を見ています。会社のIRページにある配当のお知らせにも同じ日付が載っています。
入ったかどうかを確認する方法
通知が来なくても、入金は後から確認できます。証券口座の取引履歴・入出金明細に配当金として記録されますし、証券会社から発行される配当金計算書には、銘柄ごとの配当額と差し引かれた税額が載ります。確定申告をする人はこの計算書を使いますが、私はそこまでせず、年間の合計額を把握するために年に一度眺める程度です。
どこに入るかは「受け取り方式」で決まる
配当をどこで受け取るかは、あらかじめ選んだ受け取り方式によって変わります。証券口座で受け取る方式のほか、郵便局などで換金する配当金領収証の方式などがあります。
私は株式数比例配分方式——保有する証券口座に配当が自動で入金される方式——にしています。複数の口座に株が散らばっていても、それぞれの口座に配当が入るので、受け取りのために何かをする必要がありません。
この方式にはもう一つ意味があります。NISA口座で買った株の配当を非課税で受け取るには、この方式を選んでいることが条件です(上場株式の配当の話で、投資信託の分配金には当てはまりません)。方式が違うと、NISAで買った株なのに配当には課税されてしまいます。設定は証券会社の画面で確認・変更できるので、NISAで高配当株を買っている方は一度見ておくと安心です。
配当が入ったあとの使い道については、配当金が入ったらどうする?9年・120万円を再投資してきた40代のやり方にまとめています。
中間配当と期末配当——年に何回、どう散らばるか
配当の回数は銘柄によって違います。年2回(中間・期末)の会社が多いものの、年1回の会社もあれば、四半期ごとに出す会社もあります。
私は国内株・J-REITを中心に96銘柄(国内株・Jリート91+米国ETF5)を保有しています。現金として口座に入ってくる配当は、税引後で年約110万円。これに株主優待の約10万円相当を足して、年間のインカム合計が約120万円という内訳です(優待は金券などの現物なので、口座に振り込まれるわけではありません。個人の実績であり、将来の成果を保証するものではありません)。これだけの銘柄数になると、入金の通知は年間を通じてばらばらに届きます。3月・9月に基準日が集中する一方、J-REITは決算期が分散しているため、通知が鳴る月も自然と散らばりました。
ただし、これは結果としてそうなっただけです。「毎月配当が入るように銘柄を組む」という設計を目指したことはありません。9年かけて配当がどう積み上がったかは、配当110万円+優待10万円で年間120万円(税引後)に育てた記録にまとめています。
「権利付最終日の直前」をあえて外す理由(私の場合)
最後に、9年やってきて自分なりに決めていることを書きます。私は権利付最終日の直前を、あえて外して買っています。
権利付最終日が近づくと、配当を取りたい買いが集まって株価が上がりやすい——というのが、相場を見てきた私の実感です。そのタイミングで「今買えば直近の配当がもらえる」と動くと、高い値段で買ってしまいやすい。もらえる配当は1回分ですが、高く買った事実はその後ずっと残ります。
だから私は、配当の日程ではなく「その銘柄を買っていい水準かどうか」で判断するようにしています。9年かけて7つの基準を作ってきましたが、その入口にあたる数値の部分だけ挙げると、表面利回り3.7%以上、PER15倍程度、PBR1倍程度、ROE8%以上、自己資本比率50%以上、配当性向50%以内。これを通るかどうかが先で、権利確定日がいつかは後です(残りの基準は累進配当・セクター分散などの考え方の部分です)。

これは「駆け込みで買うのは損だ」と言いたいのではありません(実際の値動きは読めませんし、権利前に買って値上がりすることもあります)。ただ私の場合は、1回の配当を追いかけるより基準を守るほうが、9年続けるうえで気が楽でした。
銘柄の選定基準そのものは高配当株7つの選定基準に詳しく書いています。
まとめ|「いつ買うか」より先に決まっていること
- 配当をもらえるかは権利確定日に株主名簿へ載っているかで決まる。保有期間の長さは関係ない
- 名簿に載るには権利付最終日(=権利確定日の2営業日前・T+2ルールによる)までに買う。営業日の数え方に注意し、JPXや証券会社の情報で確認する
- 権利確定日と入金日は別。支払開始日は各社が決めるため、銘柄ごとに違う
私が最初にやった一歩は、権利確定日のカレンダーを追いかけることではなく、「買っていい水準か」を判断する自分の基準を決めることでした。日程は、その後からついてきます。

→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
本記事は制度の一般的な説明と筆者個人の経験に基づく記録であり、特定の銘柄・売買時期・投資手法を推奨するものではありません。決済期間・配当の取り扱い・税制は変更される場合があります。記事内の日数・制度の説明は執筆時点(2026年8月)のものであり、実際の取引の前にはJPX・証券会社・各社IR等の公式情報をご確認ください。株式投資には元本割れ・減配・無配のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
