⚠️ 免責事項
本記事は私個人の投資経験の記録です。特定の金融商品への投資を勧誘・助言するものではありません。過去の投資結果は将来の成果を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。
Jリートと高配当株の違いは、大きく3つです。①価格の動き方、②配当控除の有無、③配当の育ち方——「同じ高利回り商品」と思って持つと、コロナ級の暴落で想定外の動きをします。
高配当株中心のポートフォリオを9年かけて育て、コロナ前後からJリートを11銘柄以上保有してきた私が、その違いと実体験を記録します。読み終わると、Jリートを持つ意味と距離感が整理できるはずです。
(96銘柄ポートフォリオの全体構造は40代サラリーマンの高配当株ポートフォリオ96銘柄に、年間配当120万円(税引後)への道のりは年間配当120万円への道に書いています)
Jリートとは——不動産の賃料収益を証券で受け取る仕組み

Jリート(J-REIT)は、不動産を証券化した金融商品です。投資家から集めた資金でオフィスビル・商業施設・物流倉庫・住宅などの不動産を取得し、そこから得た賃料収益を分配金として投資家に還元する仕組みです。
株式と同じ取引所で売買できる点は共通です。ただし、原資産は不動産であり、分配金の源泉は「株式会社の利益」ではなく「不動産の賃料収益」です。この違いが、高配当株とは異なる特性を生み出しています。
Jリートと高配当株の3つの違い

保有を通じて実感した違いを3点にまとめます。
① 価格の動き方が違う
株式は主に企業業績・景気・金利の影響を受けます。一方、Jリートの価格は不動産市況・金利・賃料動向にも連動します。
特に金利の影響が大きい点がJリートの特徴です。金利が上昇すると、借入コストの増加や利回り商品としての相対的な魅力低下から、Jリートの価格は下落しやすい傾向があります。株式がそこまで反応しない局面でもJリートだけが売られる場面を、私は何度か経験しました。
逆に、景気が悪くなっても不動産賃料が安定していれば、株式ほど下がらない局面もあります。一様に「株より安全」「株より危険」とは言えない複雑さが、Jリートにはあります。
② 配当控除が使えない——同じ利回りでも手取りが変わる
国内株式の配当金には、一定の条件下で配当控除の適用を受けられます(総合課税を選択した場合。参考:国税庁タックスアンサー No.1250「配当所得についての所得税の特例」)。しかしJリートの分配金は、配当控除の適用対象外です。
総合課税で配当控除を活用する場合は、同じ利回りでもJリートのほうが税引き後の手取りが低くなります(申告分離課税や源泉徴収で完結する場合は税率は同じです)。私の場合、この差を意識したうえでJリートの入口利回り条件を設定しています。
(なお、NISA口座内では運用益が非課税のため、この差は生じません。課税口座で保有する場合の話です。税制の詳細は個人の状況によって異なります。具体的な計算はご自身の状況に応じて確認してください)
③ 配当の育ち方が違う
高配当株では、業績好調な企業が「増配」を重ねることで、取得簿価ベースの利回りが年々育っていきます。私の場合、入口利回り3.7%以上を基準に買い続け、9年で取得簿価ベース利回りが約6.0%まで育ちました(詳細は年間配当120万円への道)。
一方、Jリートは分配金の原資が賃料収益のため、高配当株のような大幅な増配成長は私の保有銘柄では起きていません。不動産の賃料は急激には上がらず、入居率の変動や修繕費用の影響も受けます。取得時の分配利回りは4〜5%台を目安に選んできましたが、その後の成長という意味では高配当株ほどは育たないと感じています。
コロナ暴落でJリートはどう動いたか——私の実体験

2020年のコロナショックは、Jリートが「株とは異なる動き方をする資産」だと実感した体験でした。
私の運用総額はコロナ直前の2020年2月に約800万円前後でした(当時の記録をたどった概算です)。そこからコロナ底値の2020年4月には約400万円台まで下落し、含み損は約350万円超になりました(コロナ暴落全体の記録は資産が半値になったコロナショックの全記録へ)。
この中で、Jリートは株より先に・深く下落しました。外出自粛・テレワーク普及でオフィスや商業施設の需要が激減するという観測が先行し、Jリートへの売りが2020年3月に株式市場全体に先んじて加速したと私は感じました。
一方で、回復のパターンも異なりました。株式市場が2020年後半から急速に回復する中、Jリートの回復はより緩やかでした。私が保有していた銘柄は物流系も含めて全体的に回復が遅く、株式市場が戻った後もJリートは低迷が続くという体験でした。
「株が下がれば一緒に下がる」だけでなく、「下落が先に来て、回復が遅れる」局面があったことは、Jリートと高配当株を並べて持つ上での重要な実感です。
それでも40代の私がJリートを持ち続ける理由
コロナ暴落の経験があっても、私が現在もJリートを11銘柄以上保有し続けているのには理由があります。
不動産収益を間接的に享受できることが最大の理由です。個人が直接不動産を購入するのは資金・管理コスト・流動性のハードルが高い。Jリートを通じることで、少額から不動産の賃料収益の一部に参加できます。
もう一つは分散効果です。コロナ時のJリート暴落は先述しましたが、すべての局面で株式と同じ方向に動くわけではありません。金利低下局面でJリートが買われる一方で株式が低迷する場合もあります。完全な分散効果とは言えませんが、高配当株一本だけより値動きのパターンが分散されると感じています。
ただし保有を続けて痛感したのは、Jリート内でもセクターによって動きが全然違うことです。保有しているホテル系リートは、コロナ後のインバウンド回復で分配金が増額されましたが、その後の国際情勢の変化による訪日客の変動で再び減益になりました。オフィス系リートはコロナ期のリモートワーク普及で空室が増えたものの、出社義務化を復活させる企業が増えたことで回復しています。外部環境への感応度がセクターで大きく異なることを実感したため、11銘柄以上にセクターを分散して保有しています。
私のポートフォリオでJリートの分配金は年間約11万円程度(全体の配当120万円(税引後)の約1割程度)です。主役ではなく、ポートフォリオの構成要素の一つとして位置づけています。
実体験で感じたJリートのデメリットと正しい距離感
結論を先に書きます。JリートはポートフォリオのB面として持つものだと感じています。
デメリットも含めて整理すると、次のようになります。
- 分配金は安定しているが、高配当株のように「増配で育てる」期待は小さい
- 金利の動きに敏感なため、金利上昇局面では値動きに注意が必要
- 景気局面によっては株式と異なる動きをすることがあり、ポートフォリオの緩衝になる場面もある
- Jリートだけで攻めるのではなく、高配当株の補完として使う感覚が合っていると感じている
私の場合、ポートフォリオ全体の10%程度を上限にJリートを保有する方針にしています。個別株のような成長性や増配は期待しにくい一方で、個別株とは異なる実体経済・国内外の要因との連動性があるため、分散の一角として考えています。
「高配当株と同じ感覚で持てばいい」ではなく、Jリート固有の特性を理解したうえで適切な比率を決める——これが実体験から導き出した正直な結論です。
まとめ

この記事では、高配当株とJリートの3つの違いと、コロナ前後からの保有実体験を記録しました。
- 価格の動き方:金利・不動産市況の影響を受ける。株式と異なるタイミングで動くことがある
- 税務上の違い:Jリートは配当控除の対象外。同じ利回りでも税引き後の手取りが異なる
- 配当の育ち方:賃料収益が原資のため、高配当株ほどの増配成長は期待しにくい
Jリートは「高配当株と代替できる資産」ではなく、「不動産収益への参加手段」として補完的に位置づけるのが、私の答えです。
Jリートを含む96銘柄のポートフォリオ全体については40代サラリーマンの高配当株ポートフォリオ96銘柄へ、取得簿価利回り6%への育て方の実例は配当利回りの育て方・9年の記録へ。
→ 9年間の全記録:40歳・500万円から6,000万円になった話
本記事は筆者個人の運用経験の記録です。特定の金融商品・銘柄・投資手法の推奨・勧誘を目的とするものではありません。記載の数値(分配金・利回り・銘柄数等)は筆者の管理記録に基づく概算値であり、現在の市況や各銘柄の状況を保証するものではありません。税務上の取り扱いは個人の状況により異なります。投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて登録を受けた専門家にご相談ください。
