本記事は令和8年分(2026年分)の国税庁公表様式および公的機関の公開情報をもとに、筆者の会社員としての手続き経験を加えて整理したものです。制度の適用や記入方法は個々の状況・勤務先の運用によって異なります。最終的な判断は国税庁の案内、勤務先の担当部署、または税理士にご確認ください。
年末調整でiDeCoの掛金を書くのは、「小規模企業共済等掛金控除」の欄です。用紙でいうと「給与所得者の保険料控除申告書」の右下、行の名前は「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」。ここに証明書に書かれた合計金額を書き、その払込証明書を添えて勤務先に出します。
私は2019年(42歳)からiDeCoを続けていて、今は月20,000円を拠出しています。毎年、国民年金基金連合会からハガキで証明書が届きます。名前は「小規模企業共済等掛金払込証明書」。長いわりに、やることは多くありません。

この記事でわかること
- iDeCoを書く欄の正確な名前と、間違えやすい隣の行
- ハガキで届く払込証明書が何者で、いつ何をすればいいか
- 勤務先がWeb申告の場合はどうなるか
- 節税の効果が、いつ・どこに出てくるか
iDeCoは「生命保険料控除」ではない——書く欄はここ
まず、いちばん間違えやすいところから。iDeCoの掛金は生命保険料控除ではありません。
年末調整で使う「給与所得者の保険料控除申告書」は1枚の紙に複数の控除がまとまっていて、左側の広い面積を生命保険料控除が占めています。iDeCoはそこではなく、右下にある「小規模企業共済等掛金控除」のブロックです。
このブロックには4つの行があります。令和8年分の様式では、上から順にこうなっています。
▼図解:iDeCoを書くのは、この用紙の右下・上から3行目

- 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金
- 確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金 ← iDeCoはここ
- 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
iDeCoが該当するのは「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の行です。iDeCoの正式名称が「個人型確定拠出年金」なので、この名前になります。並び順は様式によって変わり得るので、位置ではなく行の名前で探してください。
注意したいのがすぐ隣にある「企業型年金加入者掛金」です。こちらは勤務先が企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入していて、そこに自分で上乗せしている場合(マッチング拠出)の行です。違いは「個人型」か「企業型」かの2文字だけ。しかも隣り合っています。
右端の列に「あなたが本年中に支払った掛金の金額」を書き、いちばん下の「合計(控除額)」に合算します。
📋 出典 欄の名称は国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」(PDF・2026年8月閲覧)の様式そのままです。様式は年によって変わることがあるため、書く前にその年の様式をご確認ください。記入例を含む案内は国税庁の各種申告書・記載例のページにまとまっています。
ハガキが届いてからが本番——書くのは3つのうち1つ
欄がわかっても、証明書がないと書けません。
iDeCoの掛金を年末調整で申告するには、「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。国民年金基金連合会から送られてくるもので、その年にいくら払ったかが記載されています。
私のところには、これがハガキで届きます。封筒ではありません。

証明書には、金額が3つ並んでいます。書くのは、そのうち1つだけです。申告書に書くのは、いちばん下の「合計金額」です。
| 証明書の記載 | 意味 | 申告書には |
|---|---|---|
| 納付済である金額 | 証明書が作られた時点までに、実際に引き落とされた分 | 書かない |
| 納付が見込まれる金額 | その年の12月までに引き落とされる予定の分 | 書かない |
| 合計金額(上の2つの合計) | その年に払う掛金の年間総額 | これを書く |
たとえば掛金が月20,000円で1年間変わらなければ、合計金額は240,000円になります。
「まだ払っていない12月分まで入っているけど大丈夫なのか」と気になるところですが、年末までに払う予定の分まで含めた金額で申告する仕組みになっています。
証明書は10月ごろから順次発送されますが、全員が同じ日に届くわけではありません。その年に初めて掛金が引き落とされた月によって、発送のタイミングが後ろにずれます。年の途中でiDeCoを始めた人は、11月や12月、場合によっては年明けに届くこともあります。
「まだ来ない」と焦る前に、自分がいつから拠出しているかを思い出すほうが早いかもしれません。その年の正確な発送スケジュールは、加入している金融機関の案内で確認できます。
⚠️ 注意 年の途中で掛金を増額・減額すると、証明書に書かれた合計金額と、実際にその年に払う総額がずれることがあります。この場合、変更後の内容で証明書があらためて発行される取り扱いになっています。ずれが気になるときは、勤務先の担当部署か加入先の金融機関に確認してください。
いつまでに出すのか——秋から翌年6月までの流れ
この手続きは、秋から翌年の初夏まで、季節をまたいで進みます。全体の順番を先に押さえておくと、「いま自分はどこにいるか」がわかります。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 10月ごろ〜 | 国民年金基金連合会から払込証明書が発送される(拠出開始月によって後ろにずれる) |
| 証明書が届いたら | 勤務先の年末調整で、掛金の合計金額を申告して証明書を提出する |
| 勤務先が定める提出期限 | 会社ごとに違う。ここが唯一の締切 |
| 12月または1月の給与 | 所得税が精算される |
| 翌年6月ごろ〜 | 住民税の天引き額に反映される |
締切は勤務先が決めます。年末調整の計算を12月の給与に間に合わせる必要があるため、証明書が届いてから提出期限までの猶予は、思っているほど長くありません。証明書が届いたら早めに出すのが、いちばん確実だと思っています。
期限は勤務先の案内で確認してください。「まだ証明書が届いていない」場合の扱いも、会社によって決められていることがあります。
勤務先がWeb申告なら、紙は出てこない
ここまで紙の様式の話をしてきましたが、実際には紙の申告書を触らない人が増えています。私の勤務先もそうです。
年末調整の電子化が進んでいて、勤務先のシステムに金額を入力する形になっている会社があります。この場合、紙の用紙そのものが手元に来ないので、「右下の欄」という紙の並びは画面には出てきません。代わりに「小規模企業共済等掛金控除」や「iDeCo」といった項目を選んで、金額を入力する形式が一般的です。
私がやっているのも、この方式です。ハガキが届いたら、その金額をシステムに入れて、証明書は会社に提出する。それだけです。正直なところ、毎年やっているわりに手順の記憶が薄いのは、それくらい単純だからだと思います。

システムの画面は会社ごとに違うので、ここから先は勤務先の案内に従うことになります。それでも、どの控除に当たるのか(=生命保険料控除ではなく小規模企業共済等掛金控除である)を知っているかどうかで、画面の見え方は変わります。項目名で迷ったときに、自分で判断できます。
なお、私の勤務先では電子申告でも証明書そのものの提出を求められます。取扱いは勤務先の案内に従ってください。なくした場合の再発行はできますが日数がかかるので、捨てないほうが早いです。
証明書は、マイナポータル経由で電子データとして受け取る方法も用意されています。勤務先が電子データでの提出に対応しているかどうかで、使えるかが変わります。
iDeCoをいくらから始めたのか、掛金をどう決めてきたかはiDeCoを40代から始めた記録に書きました。
効果が出るのは、所得税と住民税で別のタイミング
出したあと、どこで効果を確認できるのか。ここには時差があります。
所得税は、その年の年末調整で精算されます。12月または1月の給与明細に反映されるのが一般的で、払いすぎていた分が戻る形です。
住民税は、そうなりません。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、iDeCoの掛金が反映されるのは翌年6月以降の天引き額です。年末調整をした年の給与明細をいくら見ても、住民税の欄は変わりません。ここを知らないと「効いていないのでは」と思ってしまうところです。
住民税がいくら下がったかは、毎年6月ごろに勤務先経由で配られる住民税の決定通知書でも確認できます。給与明細のどこに何が引かれているかは給与明細の天引き5項目で整理しました。9年分の記録は40歳・500万円から6,000万円になるまでにまとめています。
節税額そのものは、掛金と自分の税率で決まります。目安はこうなります。
| 年間の掛金 | 合計税率20%の場合 (所得税10%+住民税10%) |
合計税率30%の場合 (所得税20%+住民税10%) |
|---|---|---|
| 14.4万円(月12,000円) | 約2.9万円 | 約4.3万円 |
| 24万円(月20,000円) | 約4.8万円 | 約7.2万円 |
| 27.6万円(月23,000円) | 約5.5万円 | 約8.3万円 |
※概算です。税率は年収ではなく課税所得(各種控除を引いたあとの金額)で決まります。住民税10%は所得割の標準税率で、自治体により異なる場合があります。復興特別所得税は含めていません。また、iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せません。節税額だけで増額を判断せず、生活費や他の資金の使いみちと合わせて考えることをおすすめします。
※月23,000円は、企業年金のない会社員の現行の上限額です。この上限は2026年12月の改正で引き上げられる予定で、その判断についてはiDeCo上限6.2万円に拡大、でも私は増やさないに書きました。
出しそびれたら確定申告——ただし私は経験がありません
年末調整の期限に間に合わなかった場合、制度としては確定申告で申告する方法があります。
ただ、私は確定申告をしたことがありません。会社員として年末調整だけで完結してきたので、手順を説明できる立場にないというのが正直なところです。ここで知ったふうに書くより、国税庁の還付申告の案内を見てもらったほうが確実です。
私にできるのは、ハガキが届いたら忘れないうちに出すという当たり前のことだけです。勤務先の提出期限は会社ごとに違うので、そこも早めに確認しておくと慌てません。
まとめ|3つ覚えておけば迷わない
- iDeCoは生命保険料控除ではなく「小規模企業共済等掛金控除」。書くのは「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の行。隣の「企業型」と間違えない
- 書くのは証明書の合計金額(納付済+年末までの納付見込み)。届く時期は拠出を始めた月によってずれる
- 効果は所得税がその年、住民税は翌年6月以降。同じ明細で同時には確認できない
私が最初にやった一歩は、欄の名前を覚えることでした。「小規模企業共済等掛金控除」と「個人型」。これさえ頭に入っていれば、紙でもWebでも迷いません。
覚えるのは、2語だけです。

本記事は税務相談ではありません。記載内容は令和8年分の様式・公開情報および筆者個人の手続き経験に基づくものであり、制度の内容や様式は改正により変更されることがあります。個別の記入方法・適用可否については、国税庁の案内、勤務先の担当部署、または税理士にご確認ください。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、運用成果によって受取額が変動します。
